「ベンチプレスの正しいやり方を知りたい」
「フォームが難しいイメージがあってなかなか挑戦できない」
ベンチプレスは胸・肩・腕といった上半身の筋肉を集中して鍛えられるトレーニング。デッドリフト・スクワットと並び、大きな筋肉を鍛えられる「筋トレBIG3」と呼ばれています。
ベンチプレスの効果を得るためには、肩甲骨を意識したフォームがとても重要。しかし、ベンチプレスのフォームは少し難しく、間違ったやり方で行っている人も少なくありません。
そこでこの記事では、ベンチプレスの正しいやり方やフォームについて詳しく解説します。さまざまな種類別のベンチプレスのやり方も紹介しているので、ぜひ実践に取り入れてみてください。
ベンチプレスで鍛えられる主な部位と筋肉
ベンチプレスで鍛えられる主な部位と筋肉は大きく分けて3か所。
- 胸(大胸筋)
- 肩(三角筋)
- 腕(上腕三頭筋)
上半身を重点的に鍛えられるので、逆三角形の体を目指したい人にもベンチプレスはおすすめです。1つずつ解説します。
1. 胸(大胸筋)
ベンチプレスでもっとも鍛えられるのは、胸の部分の筋肉である大胸筋。大胸筋を鍛えることで分厚い胸板を目指せます。
どちらかというと男性が行うトレーニングという印象が強いですが、女性にもベンチプレスはおすすめ。バスト周りの筋力アップにつながり、バストの崩れを予防できます。
2. 肩(三角筋)
肩を覆うように厚く盛り上がってついている三角筋を鍛えられるのもベンチプレスの魅力。丸くてたくましい肩を目指せます。
しかし、間違ったトレーニング方法で行うと肩を痛める危険があるので注意が必要です。正しいフォームを意識し、無理な重さでトレーニングをしないようにしましょう。
3. 腕(上腕三頭筋)
二の腕部分にある上腕三頭筋は、腕を伸ばしたときに浮き出る大きな筋肉。長頭・外側筋・内側筋という3種類に筋肉で構成されています。
腕の中でもっとも大きい筋肉であり、腕を太くしたい人にとっては重要な部分です。ベンチプレスを行うことで効率よく鍛えられます。
ベンチプレスのやり方と正しいフォーム
ベンチプレスのやり方と正しいフォームを、STEP1からSTEP3までの動作の流れに沿ってご紹介します。
- STEP1:準備・スタートポジション
- STEP2:バーベルを胸の上にセット
- STEP3:バーベルの上げ下げ
1つ1つの動きをしっかりと確認していきましょう。
STEP1:準備・スタートポジション
まず、準備とスタートポジションの流れです。
- 腕を伸ばして自然に届く高さにラックの位置を調整する
- 頭・両肩・お尻・両足をしっかりと着地させて仰向けになる
- バーが目線の位置にくるようにする
- 手の幅を均等にして、肩幅よりも1.5倍くらい外側の位置でバーを握る
- 肩甲骨を寄せて下げ、胸を張った姿勢を意識する
ラックの位置が高すぎても低すぎても、トレーニング効果が低くなります。怪我につなりやすくなるので注意しましょう。
STEP2:バーベルを胸の上にセット
次に、バーベルを胸の上にセットするまでの流れです。
- 肩甲骨を寄せた状態で背中を浮かせてブリッジをつくる
- 足はしっかりと着地し、力を加えられる状態にしておく
- バーベルをラックから外して胸の位置までもってくる
バーベルを胸の位置にもってくるときに、ゆっくりと息を吸いながら下ろして腹圧をかけるのがポイントです。
STEP3:バーベルの上げ下げ
最後に、バーベルの上げ下げするときの流れです。
- 足に力を入れて踏ん張った状態で息を吐きながら、バーが肩の真上にくるように持ち上げる
- 持ち上げたら、ブレが収まるまで一度静止する
- 肩甲骨を寄せるイメージでバーベルをゆっくりと下げる
- 下げるときに前腕が地面と垂直になるように意識する
- 下げたときにバーベルをバウンドさせないように注意する
バーベルを上げ下げするときに、肩甲骨のブリッジの状態を崩さないようにキープすることが重要です。肩甲骨をベンチに押し付けるように行うと姿勢が安定しやすくなります。
持ち上げるときは真上に持ち上げるというよりも、やや曲線を描くようなイメージです。下げたときにバーが顔に近すぎたりお腹の上になってしまったりすると、腕や肩に負担がかかってしまいます。前腕の角度に注意しましょう。
ベンチプレスの回数とセット数の目安
ベンチプレスは1セットを10回程度にし、3セットを目安に行いましょう。ただし、痛みなどの違和感があるときに無理をしてはいけません。
初心者はバーの重さやフォームに慣れるところからスタートし、正しいフォームで安定して回数をこなせるようになったら重量を上げていきましょう。
ベンチプレスで間違えやすいフォームの注意点
ベンチプレスはフォームが重要です。間違えやすいフォームのポイントは5つ。
- バーの握り方が間違っている
- バーを握る位置が適切でない
- 肩甲骨を寄せてブリッジができていない
- 力を入れるときに体の一部が浮いている
- バーをバウンドさせている
フォームが崩れていると期待するトレーニング効果を得られないだけでなく、思わぬ怪我にもつながります。必ず確認しておきましょう。
1. バーの握り方が間違っている
ベンチプレスでバーを握るときは、親指でバーを包み込む握り方(サムアラウンドグリップ)で握るようにしましょう。
親指でバーを包み込まない握り方(サムレスグリップ)で持ち上げると、滑ってバーを落とす危険があります。
また、手首が折れ曲がった状態でバーを持つと、手首を痛めやすくなるので危険です。手首を少し外側に向けて「ハの字」になるように握りましょう。手首のグラつきをサポートするリストラップを使用するのもおすすめです。
2. バーを握る位置が適切でない
バーを広い場所で握ってしまうと、無理な負荷がかかり、肩を痛める可能性があります。広く持ったり狭く持ったりして握る位置を変えるベンチプレスのやり方もありますが、まずは基本の位置を覚えることが大切です。
バーを握るときは左右の位置が偏らないように、均等を意識して持つようにしましょう。
3. 肩甲骨を寄せてブリッジができていない
肩甲骨が開いた状態になっていると、大胸筋をしっかりと鍛えられません。それどころか肩や腕への負担が強くなり、思うように力を発揮できなくなってしまいます。
また、肩甲骨を寄せただけだと肩を痛めやすくなってしまうので、肩甲骨を少し下げてブリッジの状態をつくることが大切です。
特にバーベルを持ち上げたときにブリッジが崩れやすくなる人は、重量が合っていない可能性があります。ブリッジを崩さずに、無理なく回数をこなせる重さに設定しましょう。
うまく力を加えられない人は、トレーニングベルトを使用すると腹圧がかけやすくなるのでおすすめ。腰への負担も軽減できます。
4. 力を入れるときに体の一部が浮いている
バーベルを持ち上げたときに、体の一部が浮かないように注意しましょう。持ち上げることに集中しすぎると、お尻やかかとが浮きやすくなります。
体の一部が浮いてしまうと、ベンチプレス本来の効果を得られません。基本のフォームを常に意識してキープできるようにしましょう。
5. バーをバウンドさせている
下げたときにバーがバウンドしてしまうと、力をうまく加えられず、期待する効果を得られません。バウンドしないようにゆっくりと下げ、一度静止させてから再度持ち上げるようにしましょう。
素早く上げ下げを行うのではなく、筋肉の動きを確認しながら負荷をかけていくことが大切です。
【ベンチプレスの種類別】正しいやり方とフォーム
ベンチプレスには、鍛えたい部位によって異なるさまざまなやり方があります。
- デクラインベンチプレス
- インクラインベンチプレス
- ナローベンチプレス
- ワイドグリップベンチプレス
種類別に正しいやり方とフォームを紹介します。基本姿勢に慣れてきたら、目的に合わせてトレーニング内容を変えてみましょう。
1. デクラインベンチプレス
デクラインベンチプレスは、大胸筋の下部を重点的に鍛えられるトレーニング。仰向けになったときに、足が頭よりも高い位置になるように角度をつけます。
- ベンチ台に10度~30度くらいの角度をつけて仰向けになる
- 足を固定して動かないようにする
- 手の幅を均等にして、肩幅よりも1.5倍くらい外側の位置でバーを握る
- 肩甲骨を寄せて下げ、胸を張った姿勢を意識する
- バーベルをラックから外して、ゆっくりと胸の位置に下ろす
- 息を吐きながら素早くバーベルを真上に持ち上げる
- 息を吸いながらゆっくりとバーベルを下ろす
- 1セット10回程度を目安に繰り返す
- 3分~5分ほどのインターバルをとって3セット行う
デクラインベンチプレスは基本的なベンチプレスよりも重心が頭側に下がっている分、重量を上げやすいトレーニングです。その反面、頭に血が上りやすくなるため、インターバル中は起き上がって頭への負担を減らしましょう。
2. インクラインベンチプレス
インクラインベンチプレスは、大胸筋の上部を重点的に鍛えられるトレーニング。デクラインベンチプレスとは反対に、仰向けになったときに足よりも頭が高い位置になるように角度をつけます。
- ベンチ台に30度~45度くらいの角度をつけて仰向けになる
- 手の幅を均等にして、肩幅よりも1.5倍くらい外側の位置でバーを握る
- 肩甲骨を寄せて下げ、胸を張った姿勢を意識する
- バーベルをラックから外して、ゆっくりと胸の位置に下ろす
- 息を吐きながら素早くバーベルを真上に持ち上げる
- 息を吸いながらゆっくりとバーベルを下ろす
- 1セット10回程度を目安に繰り返す
- 3分~5分ほどのインターバルをとって3セット行う
肘を開いた状態でトレーニングを行うと、大胸筋上部を思うように鍛えられません。少し脇を締めた状態で行いましょう。
3. ナローベンチプレス
ナローベンチプレスは、バーの握る位置を狭くするトレーニング。重量はあまり増やせませんが、上腕三頭筋や大胸筋の内側を重点的に鍛えられます。
- ベンチ台に仰向けになる
- 手の幅を均等にして、肩幅よりも狭い位置でバーを握る
- 肩甲骨を寄せて下げ、胸を張った姿勢を意識する
- バーベルをラックから外して、ゆっくりと胸の位置に下ろす
- 息を吐きながら素早くバーベルを真上に持ち上げる
- 息を吸いながらゆっくりとバーベルを下ろす
- 1セット10回程度を目安に繰り返す
- 3分~5分ほどのインターバルをとって3セット行う
脇を締め、肘が外側に出すぎないように行うのがポイントです。真っ直ぐ上に持ち上げることで、上下の可動域が広がります。
4. ワイドグリップベンチプレス
ワイドグリップベンチプレスは、バーの握る位置を広くするトレーニング。大胸筋の外側を重点的に鍛えられます。
- ベンチ台に仰向けになる
- 手の幅を均等にして、肩幅の1.5倍よりも広い位置でバーを握る
- 肩甲骨を寄せて下げ、胸を張った姿勢を意識する
- バーベルをラックから外して、ゆっくりと胸の位置に下ろす
- 息を吐きながら素早くバーベルを真上に持ち上げる
- 息を吸いながらゆっくりとバーベルを下ろす
- 1セット10回程度を目安に繰り返す
- 3分~5分ほどのインターバルをとって3セット行う
握り幅が広くなる分、上げ下げするときにバーが不安定になってグラつきやすくなります。肩を痛めないように、無理のない重量設定で行いましょう。
まとめ
ベンチプレスの効果を得るためには、肩甲骨を意識したフォームを保つことが重要です。最初から重量にこだわらず、正しいフォームを覚えることを優先させましょう。
また、無理な重量設定で行うとフォームが崩れやすくなるだけでなく、肩を痛めるリスクが高まります。設定した回数を無理なくできる重さに調整し、呼吸や速度も意識してトレーニングすることが大切です。
定期的にフォームを見直し、上半身の大きな筋肉をベンチプレスで集中的に鍛えましょう。
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