「懸垂をやると僧帽筋は鍛えられるの?」
「僧帽筋に効く懸垂はどうやってやるの?」
懸垂をやり始めてしばらく経つのに、僧帽筋に効いているかわからない人もいるのではないでしょうか?
広背筋に刺激が入る実感はあっても、僧帽筋に効果があるか心配になりますよね。
筋トレは効かせたい筋肉を意識しながら行うことで、刺激が入りやすくなります。
そこで、こちらの記事では僧帽筋の各部位を解説し、懸垂で僧帽筋を鍛えるメリットやトレーニングも紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
懸垂で僧帽筋が鍛えられる理由
僧帽筋は、後頭部と首の境目から肩甲骨までを覆っている筋肉です。上部・中部・下部の3つの部位に分かれており、受け持つ動作の役割が違います。
僧帽筋を鍛えるには、肩や肩甲骨を動かすトレーニングが効果的です。
懸垂は上半身の筋肉を効率よく鍛えられるトレーニングなので、やり方しだいで肩や肩甲骨周りに効かせられます。
やり方とは主に握り方や手の幅を変えることです。
僧帽筋に効かせるためには手の幅を広めにとり、肩甲骨を寄せるように胸を張るとよいでしょう。
親指はバーを下から握らず、上から掴む「サムレスグリップ」で実施すると、腕から余分な力が抜けて背中に効いてきます。
広背筋や僧帽筋に刺激が入るので効果が高いです。
最初はうまく肩甲骨を寄せられなくても、諦めずに続ければ僧帽筋が強化されるでしょう。
僧帽筋の役割を3つの部位にわけて解説
僧帽筋は背中の中央部に位置し、上部・中部・下部に分かれています。3つの部位の動きや役割をひとつずつまとめました。
- 僧帽筋・上部
- 僧帽筋・中部
- 僧帽筋・下部
各部位の役割を理解して意識しながら動かすことで、トレーニングの効果が高まります。ぜひ参考にしてみてください。
1. 僧帽筋・上部
僧帽筋・上部は後頭部と首の境目から付け根を通り、肩の前側まで含みます。
三角筋や大胸筋のトレーニングでも鍛えられるため、中部や下部に比べると鍛えやすい筋肉です。
僧帽筋・上部が使われるのは肩甲骨を上にあげる「挙上」と、開きながら上にあげる「上方旋回」の動作です。
肩をすくめたり、首を下に向けたりする動きに関わってきます。
2. 僧帽筋・中部
僧帽筋・中部は、背中を丸める「外転」の動作や、肩甲骨を寄せる「内転」の動作で使う筋肉です。
背伸びや深呼吸など胸を張る動きをすると自然に使われます。
鍛えると胸の厚みがでてくるので、上半身を分厚くしたい人は積極的に鍛えるとよいでしょう。
3. 僧帽筋・下部
僧帽筋・下部は肩甲骨を後ろに下げる「下制」の動作や、背中に手を回すなど肩甲骨を下げる「下方旋回」の動作で使う筋肉です。
ものを引っ張るときに刺激が入ります。トレーニングの種類が多いので、鍛えやすいでしょう。
僧帽筋に効かせる懸垂トレーニング4選
僧帽筋の部位を理解したところで、さっそくトレーニングしていきましょう。僧帽筋を鍛えられる懸垂を4つ紹介します。
- ワイドグリップチンニング
- プルアップ
- パラレル懸垂
- 斜め懸垂(インバーテッドチンニング)
ひとつずつ見ていきましょう。
1. ワイドグリップチンニング
通常の懸垂よりバーを掴む手幅を広げることで、広背筋や僧帽筋に幅広く効かせられます。
<やり方>
- 肩幅の2倍ほど手幅を取り、バーを順手か逆手で握る
- 足を軽く持ち上げる
- 肩甲骨を中央に寄せながら、バーを胸に近づける
- 上がりきったところで2秒キープする
- ゆっくりと体を下ろす
10回を1セットとし、30秒~1分間の休憩を挟みながら3セット程度行いましょう。
目線は前方を向き、顎を引いて取り組みます。継続すると背中が引き締まり、後ろ姿が美しくなりますよ。
2. プルアップ
プルアップとは順手で行う懸垂です。広背筋の上部と僧帽筋に効果的で、逆手で行うチンアップと比べると負荷は高くなります。
チンアップができるようになってから、取り組みましょう。
<やり方>
- 肩幅よりやや広めに順手でバーを握る
- 足を地面についた状態で始める
- 顎がバーと同じ高さになるまで体を引き上げる
- 上がりきったところで2秒キープする
- ゆっくりと体を下ろす
10回を1セットとし、30秒~1分間の休憩を挟みながら3セット程度行います。顎を引いていると頭をバーにぶつけやすいので、気をつけましょう。
3. パラレル懸垂
パラレル懸垂は広背筋と僧帽筋が鍛えられ、特に僧帽筋の内転動作を強化できます。
パラレルグリップがついているバーを使用しましょう。
<やり方>
- 手のひらが向き合うようにパラレルグリップを握る
- 肩甲骨を寄せながら体を引き上げる
- 上がりきったところで2秒キープする
- ゆっくりと体を下ろす
10回を1セットとし、30秒~1分間の休憩を挟みながら3セット程度行いましょう。
バーを胸に近づけるように行い、肩甲骨を寄せると効果が高まります。負荷が足りないと感じたら、足に重りをつけたり手幅を広げたりしましょう。
4. 斜め懸垂(インバーテッドチンニング)
斜め懸垂というと、懸垂に慣れていない初心者向けのイメージがあります。しかしこちらで紹介するのは上級者向けのトレーニングです。
懸垂バーは胸の高さにセットし、足は台かベンチに乗せて行います。
<やり方>
- 逆手でバーを持ち、肩よりやや広めにバーを握る
- 足のかかとを台やベンチに置き、膝と両手を伸ばす
- しっかり腰を落とす
- 肘を曲げ、体がバーと垂直に近いところまで引き上げる
- 垂直に近い状態からさらにみぞおちがバー触れるまで近づける
- 腰を落とした状態へゆっくり戻る
できる回数を1セットとし、30秒~1分間の休憩を挟みながら3セット程度行いましょう。
みぞおちがバーに触れるようになると、僧帽筋がしっかり鍛えられます。上級者向けなので、無理のない範囲で取り組みましょう。
懸垂で僧帽筋を鍛えるメリット4つ
懸垂で僧帽筋を鍛えるメリットを4つにまとめました。
- 肩こりが改善する
- 姿勢やスタイルがよくなる
- 基礎代謝がアップする
- 上半身の筋力が鍛えられる
ひとつずつ確認していきましょう。
1. 肩こりが改善する
肩や肩甲骨を覆っている僧帽筋は、デスクワークなどで同じ姿勢を続けていると血行が悪くなりやすいです。
血行不良から僧帽筋が強ばり、肩こりを引き起こします。
懸垂を行うと血行がよくなり、肩こりの改善につながります。肩甲骨の動きがスムーズになれば、肩こりや四十肩の予防になるでしょう。
四十肩は肩の関節に炎症が起こる症状で、腕が上がらなくなったり、肩が回らなくなったりします。
生活習慣によっては30代でも発症するので、年齢に関わらず僧帽筋は鍛えておくとよいでしょう。
2. 姿勢やスタイルがよくなる
僧帽筋は肩甲骨をはじめ、上半身を安定させるために欠かせない筋肉です。鍛えると猫背が改善し、姿勢がよくなります。
懸垂で広背筋と一緒にトレーニングすれば、背中全体が引き締まるでしょう。
懸垂のやり方に変化をつけると、背中の筋肉だけでなく大胸筋や腹筋も鍛えられます。
上半身の筋肉をバランスよく増やすと、逆三角形の体型に近づき、美しいボディラインを作れるでしょう。
継続して懸垂を行うことで、姿勢の改善やスタイルアップが期待できます。
3. 基礎代謝がアップする
懸垂は広背筋や上腕二頭筋など、僧帽筋以外にも鍛えられる筋肉は多いです。
筋肉量が増えると、基礎代謝の向上が期待できるでしょう。脂肪が燃えやすくなり、ダイエットに効果的です。
特に広背筋や僧帽筋は体の中でも大きい筋肉なので、小さい筋肉を鍛えるよりエネルギーの消費量は大きくなります。
基礎代謝が向上すると、日常で使うエネルギー量が増えるので太りにくくなるでしょう。
上半身の様々な筋肉を鍛えられる懸垂は、基礎代謝アップに有効なトレーニングです。
4. 上半身の筋力が鍛えられる
懸垂は上半身の筋肉をバランスよく鍛えられる筋トレです。背中だけでなく、上半身全体の筋力アップに繋がるでしょう。
腹筋や大胸筋など体の前側の筋肉はトレーニングしやすいです。しかし背中の筋肉は鍛えるのが難しいと感じることがあるでしょう。
腹筋や大胸筋だけ筋トレを頑張っても、筋肉の付き方がアンバランスになってしまいます。
広背筋や僧帽筋を鍛えると背中が引き締まり、厚みがでてくるでしょう。上半身のボディバランスが整うのは懸垂を行うメリットです。
懸垂をやるときに意識するポイント4つ
懸垂で首や肩を痛めないように正しいやり方で行いましょう。意識するポイントを4つにまとめました。
- スタートの姿勢に気を遣う
- 正しいフォームを覚える
- 肩甲骨の動きを意識する
- 無理をしない
ひとつずつ確認していきましょう。
1. スタートの姿勢に気を遣う
懸垂を始めるときの姿勢が悪いと、正しいフォームで実施できません。
姿勢を決めてから取り組めば、肩や腕に余計な力をかけずに体を引き上げられます。以下のことに気をつけてスタートしましょう。
- 胸を張る
- 自然に上を向く
- 肩と肩甲骨は下げる
スタートの姿勢が整っていないと、フォームが崩れたまま懸垂することになってしまいます。
始めるときから正しい姿勢を取っていれば、ケガのリスクは軽減されるでしょう。
無理してバーに近づこうと思わずに、姿勢を優先して取り組みます。
2. 正しいフォームを覚える
懸垂は正しいフォームで取り組むと、広背筋や僧帽筋にしっかり刺激が入ります。正しいやり方は以下の通りです。
<やり方>
- 肩幅と同じかやや広めにバーを握る
- 肩甲骨を背筋中央に引き寄せて胸をバーに近づける
- 顎とバーが同じ高さになるまで体を持ち上げる
- ゆっくり体を下げて元の姿勢に戻る
10回ほど同じ動作を繰り返し、休憩を30秒~1分挟みながら3セット繰り返します。
体を持ち上げるときに息を吐き、下ろすときに息を吸いましょう。
バーを掴む幅が狭いと首を痛めやすいので注意します。肩を下げて顎を引き、まっすぐ体を引き上げましょう。
3. 肩甲骨の動きを意識する
正しいフォームで懸垂ができていれば、肩甲骨が最大限動きます。
フォームが崩れていると肩甲骨の動きが鈍く、広背筋や僧帽筋に刺激が入りません。
肩甲骨が中心に寄って後傾し、下がった状態で体が上がっていれば正しい状態です。
肩が上がり、肩甲骨が開いた状態で前傾していると、肩を痛める原因になるでしょう。
フォームが崩れていると肩を旋回させ、腕の力でなんとか体を引き上げようとしてしまいます。
肩が痛くなったり腕が疲れたりする人は、肩甲骨がうまく使えていない可能性があるのでフォームを見直しましょう。
4. 無理をしない
懸垂は気軽にできるトレーニングではあるものの、負荷が高くできない人は多いです。
初心者なら3回~4回できれば良い方で、ぶら下がるだけで精一杯という人も少なくありません。
無理やり回数を重ねようとするとケガに繋がるので、無理をしない範囲で行いましょう。
回数より確実に筋肉に効かせることを考えます。反動をつけずにゆっくり行い、まずは10回を目指してください。
初心者はダンベルを使ったトレーニングなどで、懸垂に必要な筋肉を育ててから挑戦するとよいでしょう。
勢いよくバーに飛びついたりすると、肩関節や背中の故障でトレーニングができなくなってしまいます。
僧帽筋を成長させるためにも、無理せず継続してトレーニングを行いましょう。
懸垂をやるときの注意点3つ
懸垂にはメリットが多いものの、気をつけたい点もいくつかあります。懸垂をやるときの注意点を3つにまとめました。
- スタートの姿勢に気を遣う
- 正しいフォームを覚える
- 肩甲骨の動きを意識する
- 無理をしない
ひとつずつ確認していきましょう。
1. 怪我に気をつける
懸垂は負荷の高い自重トレーニングのため、無理をするとケガに繋がります。
体重が重かったり、筋力が不足していたりすると体を引き上げられません。
場合によっては体脂肪を減らすことを考え、懸垂に必要な筋肉をつけてから取り組みましょう。
懸垂を始める前には準備運動やストレッチで、上半身の筋肉を柔らかくしておきます。
スタートの姿勢や正しいフォームを確認しながら実施すれば、ケガのリスクを回避できるでしょう。
2. 筋肉痛が治るまで休む
筋肉痛が残っているのは、筋トレで傷ついた筋肉が回復している途中だからです。筋肉痛が治るまで、筋トレは控えましょう。
筋肉が回復するには48時間~72時間ほどかかります。
筋肉痛を我慢してトレーニングすると、筋肉の回復が間に合わなくなり、成長を妨げることになるでしょう。
さらに痛みを我慢して筋トレしても、全力で取り組めません。
むしろフォームが崩れたり、体に力が入らなかったり、思わぬ事故に繋がることがあります。
筋肉痛が残っていたら休息を取り、治ってから全力でトレーニングを行いましょう。
3. 食生活に気をつかう
筋肉を効率よく成長させるためには、トレーニングだけでなく食事も大切です。ジャンクフードばかりでは筋肉が育ちません。
タンパク質は筋肉を構築している要素です。肉や魚、卵などをメニューに加え、積極的に摂りましょう。
筋肉の成長にタンパク質の摂取は欠かせません。
トレーニング後30分以内にプロテインを飲むと、効率よくタンパク質を補給できます。
トレーニングの前には、エネルギーの源となる炭水化物を摂取しましょう。
炭水化物を摂らずにトレーニングすると、パワー不足で体調不良に陥ることがあります。
ただし、炭水化物は多すぎると脂肪に変わるので、食べ過ぎには注意しましょう。
タンパク質と炭水化物に加え、ビタミンBやCなどバランスよく摂取することが大切です。
食事で摂るのが理想的ですが、足りない場合はプロテインやサプリメントを補助的に活用しましょう。
懸垂で僧帽筋を鍛えてボディバランスを整える
懸垂は上半身をバランスよく鍛えられる筋トレです。
僧帽筋を鍛えることでボディバランスが整い、逆三角形の体に近づくでしょう。
各部位を意識しながら行えば、筋トレの効果が高まります。
無理のない範囲で懸垂に取り組み、正しい食事を摂りながら継続すれば、筋肉は順調に成長します。
トレーニングを続けて、理想のボディを手に入れましょう。
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