「懸垂は肩こりの改善になる?」
「四十肩が心配だから予防したい」
仕事がデスクワークばかりだと、肩こりが気になりますよね。年齢的に四十肩が心配だと考える人もいるのではないでしょうか。
懸垂は背中や肩周りなど、幅広い筋肉を鍛えられる筋トレです。継続すれば筋肉量が増え、肩こりが改善に向かうでしょう。
普段のトレーニングで肩こりが解消できたり、四十肩の予防になったりすれば好都合です。懸垂をメニューに取り入れて、肩を鍛えていきましょう。
こちらでは、肩こりに効く懸垂のやり方や取り組むときの注意点について解説します。ぜひトレーニングの参考にしてみてください。
懸垂が肩こりに効くのは血行不良を改善するから
肩の僧帽筋は、肩甲骨を動かしたり安定させたりするために必要な筋肉です。
僧帽筋の強ばりや緊張、血行不良が肩こりや四十肩の原因と考えられます。
四十肩は肩の関節が炎症を起こす症状で、腕が上がらなくなる人もいるでしょう。
筋肉が強ばる原因は、長時間のデスクワークやスマートフォンの利用など、現代の生活習慣が影響しています。
同じ姿勢をとり続けると筋肉は小さく硬くなり、血行不良を引き起こすのです。
懸垂を行うと背中や肩周りの筋肉がほぐれます。ストレッチ効果で血行が促進され、肩こりの症状が和らいでいくでしょう。
僧帽筋を鍛えて筋力をアップさせれば、肩こりや四十肩の予防になります。
生活習慣は変えるのが難しい場合もあるので、筋トレを継続させて肩の血行不良を改善していきましょう。
肩こりに効く懸垂のやり方3つ
肩こりを解消するため、懸垂は正しいやり方で実施しましょう。以下の3つにまとめました。
- 正しいフォームで実施する
- 肩幅より広くバーを掴む
- ゆっくり実施する
ひとつずつ確認していきましょう。
1. 正しいフォームで実施する
肩こり対策なら、広背筋や僧帽筋に効かせるやり方が効果的です。
正しいフォームで取り組むことで、しっかりと背中の筋肉に刺激が入り、肩こりの改善が期待できます。
正しいやり方は以下の通りです。
- 肩幅と同じかやや広めにバーを握る
- 肩甲骨を背筋中央に引き寄せて胸をバーに近づける
- 顎とバーが同じ高さになるまで体を持ち上げる
- ゆっくり体を下げて元の姿勢に戻る
10回ほど同じ動作を繰り返し、休憩を30秒~1分挟みながら3セット実施します。
呼吸は止めないように気をつけ、体を持ち上げるときに息を吐き、下ろすときに息を吸いましょう。
フォームが崩れると、広背筋や僧帽筋に刺激が入りません。
回数をこなすより、正しいフォームで行うことを意識します。最初のうちは10回より少ない回数でも問題ありません。
2. 肩幅より広くバーを掴む
バーを掴む位置が肩幅より狭いと、広背筋や僧帽筋ではなく、腕の筋肉が使われてしまいます。
肩幅より広い位置でバーをにぎるようにしましょう。
通常であれば肩幅よりやや広めにバーを掴みます。懸垂に慣れてきたら、肩幅の2倍ほど手を広げて行うワイドチンニングに挑戦するのも良いでしょう。
肩をすくめると広背筋への負担が小さくなります。胸を張り、背中の筋肉を意識して肩甲骨を寄せるように取り組みましょう。
3. ゆっくり実施する
懸垂はゆっくり行った方が筋肉に刺激が入りやすいため、焦らず行いましょう。正しいフォームを意識してゆっくり体を持ち上げ、下ろす動作もゆっくりと行うことで、筋肉を痛めにくくなります。
初心者の場合は筋力が弱く、肩こりで筋肉が硬くなっている状態も多いです。筋肉が強ばったまま急に懸垂をし始めると、肩を痛めてしまいます。今まで懸垂をやったことがない人は、急に始めないようにしましょう。
懸垂は自分の全体重を引き上げる負荷の高い自重トレーニングです。懸垂で肩が痛くなってしまった人は、肩への負荷が高すぎたと考えられます。まずはダンベルなどである程度の筋力をつけてから懸垂を始めましょう。
数回からスタートし、勢いよくジャンプしてバーを掴むなど、過剰な反動はつけません。筋肉へのストレッチ効果を感じながらゆっくり行いましょう。
懸垂をやるときの注意点4つ
懸垂の効果を高めるため、取り組むときの注意点を以下の4つにまとめました。
- 準備運動をする
- 顎を引く
- 適度な回数を守る
- トレーニングの間隔を空ける
ひとつずつ確認していきましょう。
1. 準備運動をする
準備運動をしないで懸垂を始めると、首や肩を痛めることがあります。
トレーニングの前にストレッチを念入りに行いましょう。首や肩周りの筋肉を伸ばしておくと、ケガのリスクが軽減します。
肩周りのストレッチは以下の方法が効果的です。
- 肩まわし
- チャイルドロック体操
- スイマー体操
チャイルドロック体操は、正座の状態からお祈りのようなポーズで、上半身を前に伸ばすストレッチです。
スイマー体操は、うつ伏せの状態から頭上に手を伸ばします。気持ちよく肩がほぐれるので、試してみてください。
また肩と一緒に首や肩甲骨のストレッチも合わせて行いましょう。
2. 顎を引く
懸垂で体を引き上げるときは、顎をあげずにしっかりと引きましょう。顎を引かないと首に負担がかかってしまいます。
首を痛めると寝違えたような痛みが続き、トレーニングができなくなったり、生活に支障をきたしたりするでしょう。
初心者のうちは筋力が弱く、腕の力で無理矢理バーに近づこうと顎をあげる傾向にあります。
顎を引いて視線を前方に向け、頭は固定した状態で懸垂を行いましょう。
3. 適度な回数を守る
懸垂は無理に回数を重ねると、首や肩を痛めるリスクが高まります。トレーニングが長すぎると、筋肉への刺激も少なくなってしまうのです。
10回を1セットにし、30秒~1分の休憩を入れて、3セット程度行いましょう。
初心者のうちは5回~6回でも効果はあります。慣れてきたら12回程度まで回数を増やしても良いでしょう。
ただし、回数は増やしすぎず、負荷が足りない場合は足に重りをつけて行います。
適度な回数の中で十分な負荷を感じられるようトレーニングに取り組みましょう。
4. トレーニングの間隔を空ける
懸垂は負荷の高いトレーニングのため、毎日行わないようにしましょう。週2~3日程度の頻度が最適です。
筋肉が疲労から回復するためには時間が必要です。
傷ついた筋肉は、休息することで大きく成長します。この仕組みを「超回復」と呼び、計画的に繰り返すことで筋肉が強くなるのです。
筋肉痛が残っているうちは、筋肉の回復が間に合っていない状態なので、トレーニングを控えましょう。
広背筋や僧帽筋のような大きな筋肉は、回復するのに2~3日かかります。
トレーニングのスケジュールを決めて、筋肉をしっかり休ませることが大切です。
肩や背中に効果のある懸垂3選
懸垂には様々な種類があり、腕や腹筋に効くトレーニングもあります。
肩こりを改善させるためには、肩や背中に効果のある懸垂を選びましょう。こちらでは3つの懸垂をご紹介します。
- 斜め懸垂
- プルアップ
- ワイドグリップチンニング
ぜひトレーニングの参考にしてみてください。
1. 斜め懸垂
斜め懸垂はバーの高さを低くし、足を床につけて行うので負荷は小さくなります。
懸垂でうまく体が上がらない人は、斜め懸垂から行うと良いでしょう。
- バーの高さをおへその辺りまで下げる
- 肩幅よりやや広めに順手でバーを握る
- しゃがんだ姿勢から足を前にずらす
- 肘を伸ばし、床にかかとをつけて体を斜めに伸ばす
- 体は一直線になるように保つ
- バーに胸をひきつける
10回を1セットとし、30秒の休憩を挟みながら3セット程度行います。体を一直線に伸ばしたときの角度が、床から45度以下になるようバーを調整しましょう。
2. プルアップ
プルアップは順手で行う懸垂です。広背筋の上部や僧帽筋に効くトレーニングで、逆手より難易度があがります。
逆三角形の体を作るために必要な筋肉が鍛えられますよ。
- 肩幅よりやや広めに順手でバーを握る
- 顎がバーと同じ高さになるまで体を持ち上げる
- 上がりきったところで2秒キープ
- ゆっくりと体を下ろす
10回を1セットとし、30秒~1分間の休憩を挟みながら3セット程度行いましょう。
体を上げるときは上腕三頭筋、下げるときは上腕二頭筋を意識します。背中が丸まってしまうと、広背筋や僧帽筋に刺激が入らなくなるので注意しましょう。
3. ワイドグリップチンニング
通常の懸垂よりもバーを掴む手幅を広げることで、広背筋や僧帽筋を含む上半身の幅広い筋肉が鍛えられます。
肩こりの解消はもちろん、継続すれば背中が引き締まり、後ろ姿が美しくなるでしょう。
- 肩幅の2倍ほど手幅を取り、バーを順手か逆手で握る
- 足を軽く持ち上げる
- 肩甲骨を中央に寄せながら、バーを胸に近づける
- 上がりきったところで2秒キープする
- ゆっくりと体を下ろす
10回を1セットとし、30秒~1分間の休憩を挟みながら3セット程度行いましょう。目線は前方を向き、顎を引いて取り組みます。
自宅で懸垂するときに揃えたい器具3つ
懸垂はジムや公園の鉄棒などで気軽に行えるトレーニングです。
しかしジムに通えなかったり、公園で行うことに抵抗がある人もいるでしょう。
自宅でトレーニングするためには、器具を揃える必要があります。揃えたいアイテムは以下の3つです。
- 懸垂バー
- チンニングスタンド
- トレーニングギア
ひとつずつ確認していきましょう。
1. 懸垂バー
懸垂バーは2,000円台から購入できる手軽なトレーニング器具です。
ジムに通う時間のない人やコストがかけられない人は、懸垂バーを活用しましょう。ジムに行けない日のトレーニング用に購入するのもおすすめです。
突っ張り棒タイプの懸垂バーなら、自宅のドア枠に取り付けて使えます。
ドア枠の傷が気になる人は、ドアに引っかけて使うタイプを検討しましょう。
懸垂バーは100kgまで耐えられるものもあるので、自重に合わせて選んでください。幅が伸縮するので取り付けたい場所のサイズに合わせられます。
安全ストッパーがついたものを選べば、トレーニング中に懸垂バーが外れてケガをする心配はありません。
「初心者だからジムで懸垂するのが恥ずかしい」と考えている人は、まず懸垂バーを使って自宅で練習してみるのも良いでしょう。
2. チンニングスタンド
チンニングスタンドは10,000円前後で購入が可能です。
部屋に設置するスタンド型のため、懸垂バーより場所が必要になります。自宅のスペースを考慮して選びましょう。
購入するときは、耐荷重量に注意します。安全にトレーニングを行うために、自分の体重より耐荷重量が重いものを選択しましょう。
慣れていないと反動をつけて懸垂してしまうことが多く、チンニングスタンドに体重以上の負荷がかかります。設置する床が安定していることも大切です。
チンニングスタンドは斜め懸垂ハンドルがついた初心者用のモデルや、腹筋用のベンチを装備したマルチ懸垂マシンなど種類が豊富です。
懸垂以外のトレーニングを視野に入れて選ぶのも良いでしょう。
3. トレーニングギア
トレーニングギアは懸垂でマメができたり、手が痛くなったりするのを防いでくれます。
ジムや公園で懸垂に取り組むときにも便利なので、購入を検討してみてください。懸垂に適したトレーニングギアは主に以下の2つです。
- パワーグリップ
- トレーニンググローブ
滑り止め効果があり、手のひらに汗をかいてもバーから手が離れにくいです。
手や腕に余計な力が入らないので、背中や肩に意識を集中できるでしょう。
パワーグリップはバーに巻きつけるベロが手のひら側についており、トレーニングによって着脱が必要です。
手に巻くだけの簡単な仕様で、グローブに比べて取り外しやすいでしょう。
グローブは着けたまま懸垂以外のトレーニングができます。ただ懸垂によるマメはパワーグリップの方がよりできにくいです。
懸垂で肩周りの筋肉を鍛えて肩こりを予防
肩こりや四十肩は、筋肉の衰えや血行不良が原因です。現代の生活スタイルでは、避けられない症状と言えるでしょう。
懸垂で肩まわりの筋肉を鍛えることで、予防や改善が期待できます。
正しいフォームと適度な回数を守りながら、取り組むことが大切です。
日本人は欧米人に比べると骨格や筋肉が華奢で、肩がこりやすい傾向にあります。
さらに40代以降になると筋肉が衰えて、肩こりを悪化させる人が増えるのです。
四十肩は肩こりの積み重ねによるもの。肩周りの筋肉を鍛えれば肩こりや四十肩を予防できるので、ひどくなる前に懸垂で肩まわりの筋肉を強化しましょう。
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