「筋トレの効果をあげるには超回復を意識するといいらしいけど、具体的にどうするの?」
「超回復が分かったうえで筋トレをしたら、もっと効率的に筋肉を鍛えられるのかな?」
「超回復なんて気にせずに筋トレをしたほうが、より筋肉がつくんじゃないの?」
こんな疑問を抱いていませんか。
情報番組内で視聴者と一緒に筋トレをしたり、筋肉に特化した番組が放送されたりと、筋トレを目にする機会が増えています。実際に私も週3回、筋トレを始めたところです。
結論からいうと、超回復に合わせて筋トレをすれば、効率よく筋肉がつきます。
この記事では、超回復の仕組みを分かりやすく解説します。
筋トレに興味をもち始めた人、超回復の知識を身につけて、より効果的に筋トレをしたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
コツを取り入れて今すぐトレーニングを始めましょう。
超回復とは
超回復とは、負荷をかけることによって低下した機能が、負荷をかける前の機能を上回る現象のことです。
表1のように、負荷によって身体の機能は一度低下します。とはいえ機能が低下したままではなく、時間の経過とともに本来の機能まで回復するのです。自然に機能が回復する力は、もともと人間の身体に備わっています。
本来の機能まで回復した後、さらに機能を向上させようとします。これが「超回復」です。
超回復はずっと続くわけではなく、ある一定期間を過ぎると、徐々に本来の機能まで戻ってきてしまいます。身体の機能を維持、あるいは向上させるためには、超回復の期間に次の負荷をかけることが必要です。
超回復の期間に負荷をかけることを繰り返すと、身体の機能は階段状に向上していきます。
筋トレ後の超回復とは
筋トレ後に起こる超回復のメカニズムは、以下のとおりです。
- 筋トレによる筋肉の破壊
- 壊れた筋肉を修復させる栄養
- 修復した筋肉を発達させる休息
壊れた筋肉が修復することで、筋トレ前の筋肉よりも太く強い筋肉になります。
第1段階:筋トレによる筋肉の破壊
一般的に筋トレをすると、筋繊維が壊れます。筋繊維とは筋肉を構成する元の単位。この筋繊維が束となり、集合して筋肉となります。
筋繊維は非常に細いため、外からの刺激で比較的すぐに切れるもの。そのため筋繊維が切れると、筋肉痛となって身体に表れます。とはいえ、必ずしも筋肉痛が伴うとは限りません。
筋肉痛はずっと続くわけではなく、人間の身体には、壊れた筋繊維を修復する機能が備わっています。壊れた筋繊維が元通りになると、筋肉痛もなくなります。
超回復を起こすためにはまず、筋トレによって筋繊維が壊れることが不可欠です。
第2段階:壊れた筋肉を修復させる栄養
壊れた筋肉を修復させる栄養素は、たんぱく質です。また枯渇したエネルギーを補給する栄養素は、糖質です。
筋トレ後はグリコーゲンが枯渇しているため、筋肉を分解してエネルギーを作ろうとします。そのため筋トレ後にたんぱく質を摂らないと、どんどん筋肉が分解されて筋肉量が減ってしまうのです。
つまり筋トレ後に、筋肉の元であるたんぱく質や、たんぱく質を作るアミノ酸を摂ることが非常に重要です。食事はもちろんのこと、すばやく消化・吸収されるプロテインでも可能です。最近ではプロテインバーやプロテインゼリーも販売されています。あなたに合った方法でたんぱく質を摂りましょう。
壊れた筋肉の修復に必要なたんぱく質の量は、体重1㎏あたり0.25〜0.3gです。体重60kgなら15〜18gのたんぱく質が必要となります。また一番栄養を吸収しやすい時間帯は、筋トレが終わって30分後。筋肉の修復を助ける成長ホルモンの分泌が、一番活発化する時間帯です。
手軽に取れるたんぱく質を紹介します。
ゆで卵1個 | 6g | プロテインバー1本 | 15g |
サラダチキンバー1本 | 13g | プロテインゼリー1P | 5g |
豆腐バー1本 | 10g | プロテイン飲料(280ml) | 10g |
納豆1P | 12g | プロテイン(粉末)1食 | 15g |
また筋トレ後に必要な糖質摂取量は、目的によって異なります。
筋肉量を増やしたい場合の糖質量は、体重1㎏あたり1時間に1.0〜1.2gです。体重50㎏の人なら50〜60gとなります。コンビニのおにぎり1.5個分です。
ダイエット目的の場合、糖質を摂りすぎるとカロリーオーバーとなるので、バナナ1本程度(糖質量15〜25g)にとどめておきましょう。
回復期間にはエネルギーを補給する糖質と、壊れた筋肉をより早く修復させるたんぱく質を摂取することが重要です。
第3段階:修復した筋肉を発達させる休息
筋肉を修復させるためには、栄養摂取とともに休息をとることが大切です。日中の休息はもちろんのこと、夜間に質の良い睡眠をとることも重要なのです。
身体を休ませることで、筋肉の修復を助ける成長ホルモンが分泌されます。特に深い睡眠(ノンレム睡眠)の時はさらに分泌量が多くなるのです。
筋トレ後の回復期間に休息をとることで、筋トレ前よりも筋肉が成長します。
目安として、筋トレ後48〜72時間の休息が必要です。48時間よりも前に次の筋トレをすると、筋肉が修復している段階でさらに筋繊維が傷つきます。そうするといっこうに筋肉は成長しません。
反対に筋トレをせずに72時間の休息を超えてしまうと、成長した筋肉が筋トレ前の筋肉まで戻ってしまいます。つまり超回復の期間に次の筋トレをするという繰り返しが、筋肉を段階的に増やしていくのです。
筋肉を強く太く成長させるためには、筋肉の修復が完了する48〜72時間、身体を休めることが何よりも重要になります。とはいえ、超回復の時間には個人差が大きいです。
筋肉痛が残っている場合は筋肉が修復途中です。つまり、まだ筋肉が壊れている部位が残っているため、トレーニングは休みましょう。
筋トレ後の各部位における超回復時間
筋トレ後の超回復時間は、筋肉の部位によって異なります。
筋肉の各部位における超回復時間は、以下のとおりです。
例)20〜30代 男性の場合
筋肉の部位 | 筋トレ終了から超回復が始まる時間 |
太もも(大腿四頭筋、ハムストリングス)
背中(広背筋、僧帽筋、長背筋) |
72時間 |
肩から腕にかけての筋肉(三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋) 胸(大胸筋)尻(臀筋群) |
48時間 |
前腕筋群、腹筋群、ふくらはぎ(下腿三頭筋) | 24時間 |
筋肉が大きくなればなるほど、また普段使っていない筋肉の方が、超回復の開始が遅くなります。
超回復が始まる時間は年齢や性別によっても異なり、年齢が若いほど速く、40代以降では遅い傾向です。また女性は男性に比べて超回復が始まる時間が遅くなります。
トレーニングメニューを考える際、参考にしてみてください。
超回復の効果を高める筋トレのコツ4選
超回復の効果を高める筋トレのコツは、以下の4つです。
- 1.筋トレの頻度
- 2.筋トレの部位
- 3.筋トレの実施時間帯
- 4.筋トレ時の負荷
1つずつ解説します。
コツ1.筋トレの頻度
超回復の効果を高めるには、筋トレの頻度を週2〜3日にしましょう。理由は筋トレ後から超回復が起こるまでの48〜72時間は、筋肉を修復させるために休息を取ることが必要だからです。
休息時間に筋トレを行うと、筋肉が十分修復されておらず筋トレの効果が下がります。
筋肉をより強く太くしたいのであれば、筋トレの頻度は2〜3日に1回が効果的です。とはいえ筋トレの頻度は、筋肉の回復速度や筋トレの経験年数により、個人差があります。
普段の筋トレの実施状況、身体の状態 | 筋トレの頻度 |
筋トレ初心者 | 1週間に1回 |
筋肉痛がある場合 | 痛みがなくなったら |
筋トレを1ヶ月程度継続している場合 | 3日に1回 |
3〜4種類の筋トレを日ごとに変えて筋トレをする場合 | 毎日あるいは2日に1回 |
https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=149&category=muscleより抜粋して作成
また以下の学会や研究では、さまざまな報告されています。
1995年に開催された日本体育学会の報告によると、日常的に筋トレを行っていない人は週に1回の筋トレが効果的とされています。
別の研究報告では、筋トレを行っていない人は日常的に行っている人よりも、筋トレ後の超回復が起こるまで2倍の時間がかかることから、週に2〜3回の筋トレが良いといわれるものもあります。
筋トレの頻度には幅があるため、あなたの筋トレの取り入れ方や身体の状態に合わせて、筋トレの頻度を決めてみてください。
早く筋トレの効果を出したいからといって、初心者のあなたが毎日筋トレに励むのは、超回復を無視した鍛え方であって逆効果ですよ。
コツ2.筋トレの部位
極論をいうと筋トレの部位を毎回変えれば、毎日筋トレをして構いません。
例として1週間の筋トレメニューを紹介します。鍛える部位を細かく分けると、毎日の筋トレが可能です。
日曜日 | 背中 |
月曜日 | 胸 |
火曜日 | 足 |
水曜日 | 肩・腕 |
木曜日 | 休息日 |
金曜日 | 背中 |
土曜日 | 胸 |
この場合は毎日別の部位を鍛えているので、超回復に影響はありません。鍛える部位が1か所なので時間短縮にもなり、継続しやすいです。
初心者の場合、張り切って一気に全身の筋トレを行いがちです。まさに私もそうでした。一気に全身の筋トレを行うと、時間もかかり集中力が切れるため、筋トレの効果が下がります。
身体が慣れてきたら、鍛える部位を増やしてみるのもいいでしょう。
コツ3.筋トレの実施時間帯
筋トレを行う最適な時間帯は夕方です。理由は3つあります。
1つ目の理由は、人間の身体機能がピークになる時間帯は、昼過ぎから夕方にかけてで、とりわけ筋トレに関係する機能(筋力・酸素消費量・肺活量)のピークが夕方になるからです。
身体機能 | 最大値を示す時間帯 |
体温 | 午後2時 |
脈拍 | 昼過ぎ |
血圧 | 午後2時 |
筋力 | 夕方 |
酸素消費量 | 夕方 |
肺活量 | 夕方 |
出典:スポーツ・運動栄養学 第3版 加藤秀夫・中坊幸弘・中村亜紀/編
講談社 p16 2015
2つ目の理由は、午後はアドレナリンの分泌量が少ないからです。アドレナリンは心拍数を上げたり血圧を高くしたりと、心臓に負担をかけてしまいます。そのためアドレナリンの分泌量が多い午前中に筋トレを行うと、身体への負担が大きくなるためおすすめしません。
3つ目の理由は、午後のほうが成長ホルモンの分泌が盛んになるからです。成長ホルモンには筋肉の修復と合成をサポートする役割があります。午前よりも午後に筋トレを行ったほうが、より効果的です。
超回復の効果を高めるのであれば、筋トレは夕方に行うのが最適です。とはいえ仕事や家事、育児に忙しい方もいるでしょう。仕事が休みの日や自分の時間ができた場合に無理のない範囲で行ってみてください。
コツ4.筋トレ時の負荷
超回復の効果を高めるには、徐々に筋トレ時の負荷を強くしていくことが必要です。なぜなら身体に十分な負荷がかかっていないと、超回復の効果が出ないからです。
つまり、同じ負荷を長くかけていても身体にとって刺激にはならないため、筋力アップや筋肉量の増加は見込めません。さらなる筋力アップや筋肉量の増加を目指すのであれば、すこしずつ負荷を強くしていくことが大切です。
目的別に具体的な筋トレ時の負荷を解説します。
目的 | 具体的な負荷の内容 |
筋力アップ | 重さを重視。3〜7回で限界と感じる負荷。ダンベルを用いた筋トレ |
見た目を変えたい ボディメイク |
重さよりも回数重視。8〜12回で限界と感じる負荷。 水入りのペットボトル(500ml)を用いた筋トレ |
重さや回数以外で負荷を高めるコツは、以下のとおりです。
- コツ1:動きの幅(可動域)を大きくして行う
- コツ2:インターバルの時間を短く(10〜30秒以内)する
- コツ3:効かせたい部位を意識してゆっくり行う
はじめから無理をせずに、少しずつ負荷を強めていきましょう。
なお女性の場合は、筋肉をより発達させたり、体脂肪を減らしたりするテストステロンというホルモンの分泌量が少ないため、負荷を強くしてもそんな簡単には筋肉ムキムキになることはありません。
コツを取り入れながら目的に合わせた負荷をかけて、超回復の効果を高めていけるといいですね。
超回復に効果的な筋トレのメニューの考え方
超回復に効果的な筋トレメニューを考える手順は、以下のとおりです。
- 筋トレの頻度を決める
- 鍛える部位を分ける
- 行う筋トレメニューを決める
- 筋トレメニューを組み立てる
1つずつ解説します。
手順1.筋トレの頻度を決める
まずあなた自身が、週に何回筋トレが行えるかを考えます。
超回復の効果を高めるのなら、週に2〜3回の頻度がおすすめです。また鍛える部位を毎回変えると身体全体を鍛えられるため、ダイエット効果が早く出ます。
手順2.鍛える部位を分ける
まず上半身と下半身に分けて考えてみましょう。
次に上半身と下半身をそれぞれ、以下のように分けます。
[上半身]
- 胸
- 背中
- 肩
- 腕
[下半身]
- お腹
- お尻
- 股関節
- 太もも
- ふくらはぎ
細かく分けると、トレーニングメニューに組み入れやすいです。
手順3.自分で行う筋トレメニューを決める
鍛える部位を分けたら、数ある筋トレメニューからあなたが取り組めそうなメニューを選びましょう。
部位別メニューの一例をあげます。
筋トレメニュー | 筋トレで効く部位 |
プランク | 体幹 とくにお腹 |
スクワット | 下半身 太もも お尻 |
レッグレイズ | お腹 太もも |
ヒンズープッシュアップ | 上腕三頭筋(裏側)胸 |
パームカール | 上腕二頭筋(力こぶ) |
ツイストクランチ | お腹 |
サイドレイズ | 肩、上腕三頭筋 |
レッグランジ | お尻 太もも ふくらはぎ |
プッシュアップ | 胸 二の腕 背中 |
詳しい筋トレメニューについては【内部リンク 筋トレ メニュー】の記事をご覧ください。
手順4.筋トレメニューを組み立てる
週2回と週3回の2パターンを例としてあげます。
(例:週2回)
日曜日 | 休息日 |
月曜日 | トレーニング(上半身) |
火曜日 | 休息日 |
水曜日 | 休息日 |
木曜日 | トレーニング(下半身) |
金曜日 | 休息日 |
土曜日 | 休息日 |
週に2回の場合、上半身と下半身に分けてバランスよくじっくりと鍛えられます。筋トレのメニュー数は、1種類でも数種類で構いません。あなたの身体の状態と相談しながら行ってみてください
(例:週3回)
日曜日 | 休息日 |
月曜日 | トレーニング(腕・胸・背中) |
火曜日 | 休息日 |
水曜日 | トレーニング(太もも、お尻) |
木曜日 | 休息日 |
金曜日 | トレーニング(腕・胸・背中) |
土曜日 | 休息日 |
週に3回の場合は超回復の効果を高めるために、同じ部位を連続して鍛えないように注意しましょう。そうすれば筋肉の修復と成長に影響はありません。
まとめ:筋トレ後の超回復を利用して効率良く鍛えよう
超回復に合わせて筋トレを行うと、効率よく身体を鍛えられます。
筋トレの効果を高めるために必要なことは、以下のとおりです。
- 回復期間にたんぱく質と糖質を摂取する
- 筋トレ後、48〜72時間は休息をとる
- 超回復の期間に次の筋トレを行う
なお、超回復の効果を高めるために必要なことは、以下のとおりです。
- 筋トレは夕方に行う
- 同じ部位を連続して鍛えない
- 少しずつ負荷を強くしていく
- 筋肉痛がある時は筋トレを行わない
この記事を参考にしながら筋トレに励み、ほどよく筋肉がついた引き締まった身体を手に入れてくださいね。
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