懸垂でベストな手幅とは?握り方による効果の違いやその他のポイントを解説

懸垂は手幅の広げ方によって、鍛えられる筋肉の部位や難易度が変わります。そのため、自分に合った懸垂の手幅を考える際には、鍛えたい筋肉から逆算するのがおすすめです。本記事では、懸垂の手幅の目安や握り方による効果の違い、懸垂のおすすめメニューなどを紹介します。

「懸垂で一番効果がある手幅は?」
「手幅の広さによってどんな違いがある?」
「懸垂が1回もできない人は手幅をどうしたらいい?」

このように、自分に適した懸垂の手幅を知りたいと思っていませんか?

懸垂は手幅の広げ方によって、鍛えられる筋肉の部位や難易度が変わります。せっかく懸垂に取り組むなら、より自分に合った方法で効率的に体を鍛えたいですよね。

そこでこの記事では、以下について解説します。

  • 懸垂の手幅の目安
  • 懸垂トレーニングで手幅以外に気をつけるべきこと
  • 懸垂のおすすめメニュー(初心者・中上級者向け)

より効果的なやり方で懸垂に取り組みたい方は、ぜひ最後までご覧ください!

【鍛えたい筋肉の部位別】懸垂の手幅の目安

はじめに、鍛えたい筋肉の部位別に適切な懸垂の手幅を紹介します。

  • 上腕二頭筋:肩幅よりも狭い手幅
  • 僧帽筋:肩幅からこぶし1つ分広げた手幅
  • 広背筋:肩幅の1.5〜2倍広げた手幅

順に確認していきましょう。

上腕二頭筋:肩幅よりも狭い手幅

上腕二頭筋を鍛えたい方には、肩幅より狭い手幅がおすすめです。この手幅では、上腕二頭筋(力こぶができる部分の筋肉)を中心に、三角筋(肩の筋肉)の後部や僧帽筋(肩から背中の表層にある筋肉)を鍛えられます。

上腕二頭筋を鍛える際には、逆手で握ったり背中をやや丸めた状態で取り組んだりするとより効果的です。男らしい力こぶを手に入れたい方は、ぜひ肩幅より狭い手幅で懸垂に取り組んでみてください。

僧帽筋:肩幅からこぶし1つ分広げた手幅

僧帽筋を鍛えたい方には、肩幅からこぶし1つ分広げた手幅がおすすめです。いわゆる一般的な手幅ですが、他の2つと比べると僧帽筋を中心に広背筋(背中の中央部から腕へと繋がる筋肉)や腹筋などをまんべんなく鍛えられます。

狭い手幅と比べると上腕二頭筋への負荷が少ないので、腕力に自信がない方でもトレーニングしやすいはずです。胸を伸ばした状態で取り組むと僧帽筋により負荷がかかるので、この部位を鍛えたい方は正しい姿勢を意識するとよいでしょう。

広背筋:肩幅の1.5〜2倍広げた手幅

広背筋を鍛えたい方には、肩幅の1.5〜2倍広げた手幅がおすすめです。広めの手幅で懸垂をすると、広背筋を中心に背中全体を鍛えられます。

肩関節に強い負荷がかかりますが、逆三角形などのゴツゴツした背中を手に入れたい方にはぴったりなトレーニングです。手幅を広げるほど広背筋に効くので、まずは1.5倍を目安に取り組み、余裕があれば徐々に広げていくとよいでしょう。

懸垂ができない方・回数を増やしたい方におすすめの手幅

鍛えたい筋肉の部位別に、適切な懸垂の手幅を紹介しました。
しかしなかには、懸垂ができようになるために手幅を改善したい方や、より回数を増やすために適切なやり方を知りたい方もいるでしょう。

そこでこの章では、上記の方におすすめの手幅を紹介します。早速結論をお伝えすると、それぞれにおすすめの手幅は「肩幅からこぶし1つ分広げた手幅」です。

というのも、一般的なこの手幅は他の2つと比べてさまざまな筋肉を使うため、懸垂に取り組みやすいからです。特定の部位に強い負荷がかかる手幅では、その筋肉が不足していると懸垂ができません。そのため、懸垂が1回もできない方や回数を増やしたい方には、幅広い筋肉を使う標準的な手幅が適しているのです。

ただし、これはあくまでも手幅についての改善案を考えた場合の話です。現在の悩みを改善するためにできるのは、手幅を見直すことだけではありません。その他に効果的な改善策は以下の記事で解説しているので、興味のある方はぜひあわせてご覧ください。

▼懸垂できないの内部リンク

▼懸垂のコツの内部リンク

順手・逆手で期待できる懸垂の効果の違い

手幅の他に懸垂の効果に大きな影響を与えるものとして、バーの握り方があります。難易度にも影響があるので、握り方による違いを把握しておくことは重要です。

  • 順手の懸垂で期待できる効果
  • 逆手の懸垂で期待できる効果

それぞれ詳しく解説します。

順手の懸垂で期待できる効果

順手は、手の甲を上にする握り方です。逆手と比べると肩関節への負荷が大きいことが特徴で、腕よりも背中の筋肉を鍛えたい方に適しています。

背中の筋肉に効きやすいので、広背筋を鍛えたい方におすすめな「肩幅の1.5〜2倍広げた手幅」と相性がいいです。肩や背中の筋肉が少ないと苦戦する可能性が高いので、順手での懸垂でうまくいかない場合は逆手に変えてみるとよいでしょう。

逆手の懸垂で期待できる効果

逆手は、手の甲を下にする握り方のこと。順手よりも肩関節にかかる負荷が少なく、上腕二頭筋に効きやすいことが特徴です。

腕周りの筋肉に負荷をかけられるので、肩幅よりも狭い手幅でおこなう懸垂と相性がいいです。順手よりも比較的取り組みやすい握り方なので、通常の手幅で懸垂をする際にも、慣れないうちは逆手でおこなうとよいでしょう。

なお、ここではバーの握り方による効果の違いを紹介しましたが、懸垂によって期待できる効果は別記事で解説しています。懸垂はメリットの大きい優れたトレーニングなので、本気で取り組むか迷っている方はぜひ参考にしてください。

▼懸垂の効果の内部リンク

懸垂トレーニングで手幅以外に気をつけるべき3つのこと

ここからは手幅やバーの握り方以外に、懸垂で気をつけるべきことを紹介します。

  • 正しいフォーム
  • 呼吸
  • 筋トレの頻度(毎日はNG)

上記の注意点を把握していないと、懸垂に取り組んでもなかなか効果を実感できなかったり、ケガのリスクが高まったりします。効率的かつ安全なトレーニングをするためにも、懸垂に取り組む方は必ず押さえておきましょう。

1.正しいフォーム

誤ったフォームで懸垂に取り組むと、本来期待できる効果が見込めません。懸垂に限らず、筋トレで成果を出すには正しいフォームで実践することが重要です。

懸垂の正しいやり方は、以下のとおりです。

  1. 自分側に手のひらを向けて、バーを握る
  2. 手幅は肩幅と同じくらいにする
  3. 肩甲骨を寄せながら、顎がバーと同じ高さになるまで体を持ち上げる
  4. 持ち上げた状態で、2〜3秒くらいキープする
  5. 肘を伸ばしきらないように、元の姿勢に戻す

より詳細な解説は以下の記事でしているので、気になる方はぜひあわせてご覧ください。

▼懸垂のやり方の内部リンク

2.呼吸

懸垂では、呼吸にも意識を向けることが大切です。正しい呼吸法で懸垂をすると、脂肪が燃焼されやすい状態となったり、フォームが安定して適切な効果を期待できたりします。

懸垂での正しい呼吸法は、以下のとおりです。

  • 体を持ち上げるとき:息を吸う
  • 体を下ろすとき:息を吐く

懸垂時に意識すべき呼吸法については、以下の記事で詳しく解説しました。意外とやりがちなNG事例も紹介しているので、正しい呼吸法を知りたい方はぜひ参考にしてください。

▼懸垂の呼吸の内部リンク

3.筋トレの頻度(毎日はNG)

懸垂などの筋トレは、毎日おこなわないことも重要です。損傷した筋肉を休ませずに負荷を与え続けると、ケガのリスクが高まるからです。

体を鍛えるために筋トレをしているのに、ケガをしてしまっては元も子もありません。安全にトレーニングするためにも、懸垂は3日程度の間隔を空けて取り組みましょう。

【初心者向け】懸垂のおすすめメニュー3選

この章からは、レベル別に懸垂のおすすめメニューを紹介していきます。
まずは、初心者の方におすすめのメニューについてです。

  • 斜め懸垂
  • プルアップ
  • チンアップ

各メニューの詳細やポイントについて、順に確認していきましょう。

1. 斜め懸垂

斜め懸垂は、足を地面に付けた状態でおこなうトレーニング。通常の懸垂よりも負荷が少ないので、現状1回もできない方や筋力が少ない方におすすめです。

<トレーニングのやり方>

  1. 手を肩幅より広めに開き、順手(手の甲を上にする握り方)で鉄棒を握る
  2. 足を地面に付けたまま肘を伸ばし、バーにぶら下がるイメージで体を斜めにする
  3. 肘を脇腹に付けるように曲げる
  4. 限界まで引き付けたら元の姿勢にゆっくり戻す

目安は、10回×3セット。

体を傾けるほど負荷が大きくなるので、慣れてきたら少しずつ角度を調節してみてください。

2. プルアップ

プルアップは、一般的に認知されている通常の懸垂です。これから懸垂トレーニングを始める方は、まずは基本的なこのメニューに挑戦するとよいでしょう。

<トレーニングのやり方>

  1. 手を肩幅に開き、順手(手の甲を上にする握り方)で鉄棒を握る
  2. 顎がバーを越えるまで体を持ち上げる
  3. 体を持ち上げた状態で1〜3秒キープする
  4. ゆっくりと体を元の位置に戻す

目安は、10回×3セット。

手首の力で体を持ち上げるとケガをする恐れがあります。プルアップに取り組む際には、肩や腕の筋肉を使うように意識してください。

3. チンアップ

チンアップは、逆手でおこなう通常の懸垂です。順手でバーを握るよりも取り組みやすいので、プルアップに苦戦した方はこのメニューに挑戦するとよいでしょう。

<トレーニングのやり方>

  1. 手を肩幅に開き、逆手(手の甲を下にする握り方)で鉄棒を握る
  2. 顎がバーを越えるまで体を持ち上げる
  3. 体を持ち上げた状態で1〜3秒キープする
  4. ゆっくりと体を元の位置に戻す

目安は、10回×3セット。

徐々に姿勢が崩れやすいので、胸を張って適切な負荷がかかっていることを意識しましょう。

【中・上級者向け】懸垂のおすすめメニュー3選

では最後に、中・上級者におすすめの懸垂メニューを紹介します。

  • ナローチンニング
  • ワイドグリップチンニング
  • ハンギングレッグレイズ(L字懸垂)

トレーニングのやり方などを順に見ていきましょう。

1. ナローチンニング

ナローチンニングは、手幅を狭めて取り組む懸垂トレーニング。上腕二頭筋や大胸筋に負荷がかかるので、これらの筋肉を鍛えたい方に適しています。

<トレーニングのやり方>

  1. 逆手(手の甲を下にする握り方)で鉄棒を握る
  2. 手幅はこぶし1個分にする
  3. 肩甲骨を寄せるイメージで、胸にバーが付くまで体を引き付ける
  4. 限界まで持ち上げられたら、2~3秒キープする
  5. 元の姿勢にゆっくり戻す

目安は、10回×3セット。

握力が不足しているとバーから手が滑りやすいので、うまくつかめない場合はトレーニンググローブなどの使用をおすすめします。

2. ワイドグリップチンニング

ワイドグリップチンニングは、手幅を広めに取っておこなう懸垂。広背筋などの筋肉を鍛えて、ゴツゴツした背中を手に入れたい方にぴったりのメニューです。

<トレーニングのやり方>

  1. 逆手(手の甲を下にする握り方)で鉄棒を握る
  2. 腕と肘が90度になるイメージで、手幅をかなり広めに取る
  3. 肩甲骨を寄せる意識を持ち、胸がバーに付くまで体を引き付ける
  4. 限界まで持ち上げられたら、2~3秒キープする
  5. 元の姿勢にゆっくり戻す

目安は、10回×3セット。

顔を上下させると、腰が曲がって不適切な負荷がかかります。ケガをしないためにも、顔の高さをキープしておこないましょう。

3. ハンギングレッグレイズ(L字懸垂)

ハンギングレッグレイズは、通常の懸垂に足上げの動作を加えたトレーニング。動作を加える分大きな負荷がかかりますが、お腹周りの筋肉を鍛えたい方には非常におすすめです。

<トレーニングのやり方>

  1. 手を肩幅に開き、バーにぶら下がる
  2. 足を一直線に伸ばし、床と平行になるまで持ち上げる
  3. 体と足が90度になって状態で1〜3秒キープする
  4. ゆっくりと足を元の位置に戻す

目安は、15回×3セット。

反動を使うと効果が軽減するので、体の筋肉だけで両足を持ち上げましょう。

まとめ

懸垂の手幅の目安や、効果を高めるために手幅以外に気をつけることを紹介しました。
最後にここまでの内容をまとめます。

  • 懸垂の適切な手幅は、鍛えたい筋肉の部位によって異なる
  • 懸垂が1回もできない方やより回数を増やしたい方には、通常の手幅がおすすめ
  • 手幅の他にも、バーの握り方や正しいフォームなどを意識することが重要

バーを握る手幅を変えると、負荷がかかる筋肉の部位が変わります。そのため、自分に合った懸垂の手幅を考える際には、鍛えたい筋肉から逆算するのがおすすめです。

今よりも懸垂ができるようになりたい方には、肩幅からこぶし1つ分広げた手幅が適しています。自分にとってベストな手幅を知り、より効果的なトレーニングをしましょう。

このコラムでは、他にもダイエット・ボディメイクに関するお役立ち情報を発信しています。
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