懸垂時の正しい呼吸法とは?意識するメリットや効果を高めるためのポイントを解説

正しい呼吸法で懸垂をすると、エネルギー消費量が増えたり血圧の急上昇やケガを防止できたりします。よって安全かつ効率的なトレーニングをしたいなら、呼吸にも意識を向けて懸垂を行うべきです。本記事では、懸垂の効果を高めるおすすめの呼吸法、効果を高めるためのポイントなどを紹介します。

「懸垂ではどうやって呼吸するのが正解?」
「普通の筋トレとは呼吸ルールが逆と聞いたけど本当?」

このように、懸垂時の正しい呼吸法を知りたいと思っていませんか?

懸垂などの筋トレは、呼吸にも意識を向けることでより効果が高まります。しかし、適切な呼吸法でトレーニングに取り組めている方はあまり多くありません。

そこでこの記事では、以下について解説します。

  • 懸垂の効果を高める呼吸法
  • 懸垂時に正しい呼吸法を意識するメリット
  • 懸垂時の呼吸法に関する3つのNG

正しい呼吸法を知ってより効果的な懸垂をしたい方は、ぜひ最後までご覧ください!

懸垂の効果を高めるおすすめの呼吸法

結論からお伝えすると、懸垂時の正しい呼吸法は以下のとおりです。

  • 体を持ち上げるとき:息を吸う
  • 体を下ろすとき:息を吐く

意外に思うかもしれませんが、呼吸一つで筋トレの効果は大きく変わります。上記を意識して取り組むことで懸垂の効果をさらに高められるので、可能な限り実践するとよいでしょう。とくに、力を入れるときには息を止めがちなので注意が必要です。

なお、補足情報として呼吸法の種類についても解説します。自分に適した呼吸法を採用したほうが、トレーニングに取り組みやすいからです。呼吸法には、以下の2種類があります。

  • 胸式呼吸
    息を吸ったときに胸が膨らむことが特徴。交感神経が優位な状態になるため、運動時や力を入れるときなど日中に活用されることが多い呼吸法。
  • 腹式呼吸
    息を吸ったときにお腹が膨らむことが特徴。副交感神経が優位な状態になるため、就寝時や食事中などリラックスタイムに活用される呼吸法。

日常生活で無意識的に用いているのは胸式呼吸です。運動時にも適した呼吸法なので、懸垂をおこなう際にも基本的には胸式呼吸で問題ありません。

とはいえ、筋トレ時に採用する呼吸法はどちらでもOKです。腹式呼吸のほうが自分に合っていると感じる場合は、無理をして胸式呼吸でおこなわないようにしましょう。

懸垂の呼吸法がほかの筋トレと逆な理由

懸垂の効果を高めるおすすめの呼吸法を紹介しました。しかしこの呼吸法は、通常の筋トレにおける基本ルールとは逆の内容となっています。

通常の筋トレにおける呼吸の基本ルールは、以下のとおりです。

  • 筋肉を収縮させるとき:息を吐く
  • 筋肉を伸展させるとき:息を吸う

このルールに従った場合、懸垂の呼吸法は次のようになります。

  • 体を持ち上げるとき:息を吐く
  • 体を下ろすとき:息を吸う

前章で紹介した「懸垂の正しい呼吸法」は上記と真逆であるため、筋トレに精通している方は違和感を覚えたかもしれません。ただ懸垂は例外的なトレーニングであり、正しい呼吸法は前章で紹介した内容で合っています。

懸垂が例外なのは、体を持ち上げる際に息を吸うと胸部が広がるような姿勢となるため、背筋をより有効に使ってトレーニングできることが理由です。よって懸垂の効果を高めたいなら、やはり「体を持ち上げるときに息を吸う・体を下ろすときに息を吐く」を実践すれば問題ありません。

呼吸を意識するかどうかで、懸垂の成果には大きな違いが生まれます。懸垂時の正しい呼吸法を把握して、トレーニングに反映させましょう。

懸垂をおこなう際に正しい呼吸法を意識するメリット

続いてこの章では、懸垂をおこなう際に正しい呼吸法を意識するメリットを紹介します。

  • 脂肪が燃焼されやすい状態になる
  • 血圧の急上昇を防げる
  • フォームが安定して適切な効果を期待できる
  • ケガの予防につながる

「呼吸を意識することでなぜ筋トレの効果が高まるのか」といった部分も解説していくので、呼吸の重要性をあまり理解できていない方はぜひ参考にしてください。

1. 脂肪が燃焼されやすい状態になる

正しい呼吸法を意識して懸垂をすると、脂肪が燃焼されやすい状態となります。というのも、エネルギー消費量は以下の式で算出されるからです。

  • エネルギー消費量(kcal) = 3.941 × 酸素摂取量 + 1.106 × 二酸化炭素産生量 – 2.17 × 尿中窒素量
    参考:厚生労働省:e-ヘルスネット「エネルギー代謝の評価法

酸素摂取量が増えると、消費エネルギーも大きくなる式となっています。つまり酸素を多く取り込むほど、アンダーカロリー(摂取カロリーより消費カロリーが多い状態)を実現しやすくなるのです。

脂肪を燃焼させるためには、アンダーカロリーの実現が必須です。理想的な体を手に入れるためにも、懸垂時には呼吸を意識すべきといえるでしょう。

2. 血圧の急上昇を防げる

血圧は、心臓が全身に対して血液を送るときに高くなります。しかし、血中酸素濃度が高い状態なら、心臓は無理をして血液を送る必要がありません。

正しい呼吸法により十分な酸素を体に取り入れると、血中酸素濃度が上昇します。ゆえに、懸垂時に適切な呼吸を意識していれば、血圧の急上昇を防げます。

筋トレ時には血圧が上昇しますが、酸欠状態にならなければリスクは低いです。一方で呼吸を止めるとリスクが高まるので、懸垂などの筋トレに取り組む際には正しい呼吸法を意識して体に酸素を取り込みましょう。

3. フォームが安定して適切な効果を期待できる

呼吸が不安定な状態では、トレーニングフォームが乱れます。たとえば長距離走をした場面を想像すると、走り始めと終盤で姿勢に違いがあることは容易にイメージできるでしょう。姿勢が乱れた状態では、本来の力で体を前に進めることができないはずです。

懸垂でも同様で、不適切な呼吸法ではフォームが乱れパフォーマンスも低下します。結果として、同じトレーニングをしても期待できる効果に差が生じてしまうのです。

だからこそ懸垂により体を変化させたいなら、正しい呼吸法で取り組むことが重要です。トレーニングの時間を無駄にしないように、基礎的なルールを徹底して遵守しましょう。

なお、懸垂によって期待できる効果は以下の記事で解説しました。懸垂に取り組むメリットを把握できていない方は、ぜひ一度目を通してみてください。

▼懸垂の効果の内部リンク

4. ケガの予防につながる

正しい呼吸法は、ケガの予防にもつながります。呼吸が安定すると、酸欠状態にならなかったりフォームが安定したりするため、想定外の事故やトラブルが起きにくいからです。

反対に呼吸が不安定だと、酸素が不足して血圧が急上昇してしまうかもしれません。また、誤ったフォームでは不適切な部位に負荷がかかり、ケガをする可能性も考えられます。

安全にトレーニングをするためにも、呼吸に意識を向けることは大切といえるでしょう。

懸垂時の呼吸法に関する3つのNG

ここまで、懸垂時の正しい呼吸法や意識するメリットなどを解説しました。ただ筋トレ時の呼吸法には、よいやり方だけでなくやってはいけないことも存在します。

そこでこの章では、懸垂時の呼吸法に関する3つのNGを紹介します。

  1. 呼吸を止めること
  2. 短い呼吸をすること
  3. 呼吸が不安定な状態でおこなうこと

NG事例を把握していないと、非効率的で危険なトレーニングをしかねません。意外とやってしまう方は少なくないので、懸垂に取り組むなら理解しておくとよいでしょう。

1. 呼吸を止めること

何よりも避けるべきは、懸垂時に呼吸を止めること。呼吸を止めると酸欠状態となり、頭痛やめまいなどが起こる可能性があります。

体への悪影響があるだけでなく、姿勢が乱れてパフォーマンスの低下にもつながります。安全かつ効果的なトレーニングをするためにも、筋トレ中は呼吸を意識しましょう。

2. 短い呼吸をすること

筋トレでは、短い呼吸もおすすめできません。短い呼吸ではお腹周りの筋肉に力を入れづらく、筋トレ時に体幹が安定しないからです。

体幹が安定しないと、当然パフォーマンスが低下します。懸垂でも多くの回数をこなせないと、せっかくトレーニングをしても体の変化はなかなか起きません。

懸垂時の呼吸では、息を長く吐くように意識しましょう。呼吸のタイミングだけでなく、吐く息の長さにも意識を向けることが重要です。

3. 呼吸が不安定な状態でおこなうこと

呼吸が不安定な状態で懸垂をすると、効果的なトレーニングはできません。体を上下させるときに力が入りづらく、筋トレの質が低下しやすいからです。

懸垂に限らず、筋トレではインターバルを設けることが大切です。毎回長時間の休憩を挟む必要はありませんが、少なくとも30秒〜1分程度のインターバルは設けることをおすすめします。

懸垂をより効率的におこなうためのポイント・注意点

最後にこの章では、懸垂をより効率的におこなうためのポイント・注意点を紹介します。

  • 正しいやり方で取り組む
  • バーを強く握りすぎない
  • 1回もできない場合は、斜め懸垂などの簡単なメニューから始める
  • 毎日はトレーニングしない

呼吸法と同様に、基本的な内容ながら重要な項目ばかりです。より短期間で懸垂の成果を実感したい方は、頭に入れておくとよいでしょう。

1. 正しいやり方で取り組む

誤ったフォームで懸垂をしても、本来期待できる効果は見込めません。負荷がかかるはずの筋肉に、適切なストレスがかからないからです。

懸垂の正しいやり方は、以下のとおりです。

  1. 自分側に手のひらを向けて、バーを握る
  2. 手幅は肩幅と同じくらいにする
  3. 肩甲骨を寄せながら、顎がバーと同じ高さになるまで体を持ち上げる
  4. 持ち上げた状態で、2〜3秒くらいキープする
  5. 肘を伸ばし切らないように、元の姿勢に戻す

懸垂の成果をなかなか実感できていない方には、そもそも正しいフォームで実践できていない方が少なくありません。呼吸法と同じくらい重要な要素なので、これからトレーニングを始める方は正しいフォームを確実に理解しておきましょう。

懸垂の正しいやり方の詳細は、以下の記事で解説しています。

▼懸垂のやり方の内部リンク

2. バーを強く握りすぎない

2つ目のポイントは、バーを強く握りすぎないこと。バーを強く握ると腕の力だけで体を持ち上げようとするため、然るべき筋肉に負荷がかからないからです。

理想的な意識は、支えるイメージでバーを握ることです。筋力が不足しているとバーを握る手も力みやすいので、とくに筋トレ初心者の方は注意しましょう。

3. 1回もできない場合は、斜め懸垂などの簡単なメニューから始める

現時点で懸垂が1回もできない方には、簡単なメニューから始めることをおすすめします。たとえば、足を地面に付けておこなう斜め懸垂でも、継続して取り組めば筋力は向上します。慣れたあとに通常の懸垂に再挑戦すると、スムーズにできることは珍しくありません。

懸垂は難易度の高い自重トレーニングですが、コツコツ筋トレを続けるといつかはできるようになります。懸垂ができない方に向けた改善策は以下の記事で紹介しているので、今より少しでも上達したい方はぜひ参考にしてください。

▼懸垂できないの内部リンク

4. 毎日はトレーニングしない

懸垂などの筋トレは、休息日を設けて取り組むことが大切です。休息日がないと、トレーニングによって損傷した筋肉が回復しきらず、ケガのリスクが高まります。

理想の体を早く手に入れるために連日トレーニングする方は多くいますが、非効率的になりがちなので決しておすすめできません。安全に体を鍛えたい方は、3日程度の休息日を設けて懸垂に取り組みましょう。

まとめ

懸垂の効果を高める呼吸法や、トレーニング時に意識するメリットなどを紹介しました。
最後にここまでの内容をまとめます。

  • 懸垂時の呼吸法は「体を持ち上げるときに息を吸う・体を下ろすときに息を吐く」
  • 正しい呼吸法を意識することには大きなメリットがある
  • NGな呼吸法で懸垂している方は少なくないので注意が必要

正しい呼吸法で懸垂をすることには、エネルギー消費量が増えたり、血圧の急上昇やケガを防止できたりといったメリットがあります。フォームが安定することで然るべき筋肉に負荷がかかり、体の変化が起きやすいことも大きな利点です。

反対に、呼吸を止めたり短い呼吸をしたりすると、非効率的で危険なトレーニングになってしまいます。呼吸は初心者の方でも簡単に改善できる内容なので、正しい方法を取り入れてより効果的なトレーニングをおこなってください。

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