「ダイエット中のカロリー計算ってどうやるの?」
「自分がどのくらいまで食べていいのか分からない」
ダイエットをしていると、食べ物のカロリーって気になりますよね。ましてや自分がどのくらいのカロリーまで食べていいのか分からないと、食事がストレスになってしまう方もいるでしょう。
そこでこの記事では、
- ダイエットを成功させるためのカロリーの出し方
- カロリーに合わせた食事バランスの考え方
- カロリー別のおすすめメニュー
を紹介します。
筆者は個人に合わせた摂取カロリーをもとにダイエットをサポートしている管理栄養士です。あなたに適した摂取カロリーを守れば必ず痩せられるので、ぜひ参考にしてください。
【結論】ダイエットはアンダーカロリーを守れば成功する
ダイエットは、アンダーカロリーを守れば成功します。アンダーカロリーとは、摂取カロリーが消費カロリーよりも低い状態のことです。
体脂肪はいざというときのエネルギー源です。消費カロリーを摂取カロリーで補えないときに体脂肪を利用できるので、アンダーカロリーを継続できれば体脂肪は減ります。
ただ摂取カロリーが少なすぎると体が飢餓状態だと勘違いをし、代謝が落ちて痩せにくくなります。アンダーカロリーを守りながら必要なカロリーは補うようにしましょう。
ダイエット中の消費カロリー量を計算しよう
アンダーカロリーを守りながら必要なカロリーを補うためには、自分が消費しているカロリー量を知る必要があります。
消費カロリーは次の順番で計算します。
- 基礎代謝量を出す
- 1日の消費カロリー量を計算する
- 運動による活動量も計算する
くわしい計算方法を順に解説していきますね。
1. 基礎代謝量を出す
まずは基礎代謝量を計算します。
基礎代謝は生きるために必要なエネルギー代謝のことで、寝転がっているだけでも消費されていきます。健康を維持するのに絶対に必要なので、基礎代謝分のカロリーは必ず補うようにしましょう。
基礎代謝の計算式は次です。
基礎代謝量 (kcal) = 体重 (kg) X 基礎代謝基準値 (kcal/kg/日)
※年齢・性別で変動あり
また基礎代謝基準値は以下の表を参考にしてください。
年齢(歳) | 男性 | 女性 |
18~29 | 23.7 | 22.1 |
30~49 | 22.5 | 21.9 |
50~64 | 21.8 | 20.7 |
65~74 | 21.6 | 20.7 |
75~ | 21.5 | 20.7 |
例えば体重50kgの30歳の女性(A子さん)の場合、50×21.9=1095となり、基礎代謝量は1095kcalです。
「自分で計算するのが手間だな…」という方は、カシオの公式HPで計算できます。年齢・身長・体重を入力するだけで基礎代謝量が分かります。
2. 1日の消費カロリー量を計算する
つづいて身体活動レベルに合わせた1日の消費カロリー量を確認しましょう。
食事を食べる・座ってテレビを観るなど、あなたが当たり前に行っている毎日の活動でもカロリーを消費しているのです。
消費カロリーは次の計算式で算出します。
1日の消費カロリー量(kcal)=基礎代謝量(kcal)×身体活動レベル
身体活動レベルとは、1日のうちの活動量を数値化したものです。
以下の表を参考にしてください。
活動量 | 身体活動レベル | 日常生活の内容 |
低い | 1.5 | 生活の大部分が座位。
あまり活動的でない。 |
ふつう | 1.75 | 座位中心。
かつ、立ったままでの仕事や接客業、通勤、買い物、家事などは行なう。 |
高い | 2 | 立ったままの仕事に従事。
もしくは運動習慣がある。 |
A子さんを例に消費カロリー量を計算してみましょう。
A子さんの基礎代謝量は1095kcalでしたね。デスクワークが中心で、運動を特にしていない彼女の身体活動レベルは「低い」です。
計算すると1095×1.5=1642となり、A子さんが1日に消費するカロリー量は1642kcalと分かります。
3. 運動時の消費カロリー量
もしもあなたが運動を定期的に行っているのであれば、その消費カロリー量も把握しましょう。
計算式は次の通りです。
消費カロリー量(kcal)=メッツ (※)× 体重kg × 運動時間 (分)× 1.05
メッツとは、運動時のカロリー消費量が安静時の何倍かをあらわしたもの。国立健康・栄養研究所を参考に、代表的な運動のメッツをまとめたものが以下です。
活動 | メッツ |
ウォーキング | 3 |
ジョギング | 7 |
ゴルフ | 4.8 |
サッカー | 7 |
サイクリング | 4 |
一部の運動のみですが、メッツ表を参考に体重別で消費カロリー量を出した表も紹介します。
体重別の消費エネルギー量 | ||||||
活動 | 時間(分) | メッツ | 45kg | 50kg | 60kg | 70kg |
ウォーキング | 20 | 3 | 47 | 53 | 63 | 74 |
ジョギング | 20 | 7 | 110 | 123 | 147 | 172 |
ゴルフ | 30 | 3.5 | 83 | 92 | 110 | 129 |
サッカー | 45 | 7 | 248 | 276 | 331 | 386 |
参考:タニタ「カロリズム」
表を参考にすると、50kgのA子さんが20分ジョギングしたら123kcalを消費することになります。毎日継続する場合は、運動による消費カロリー量を考慮してアンダーカロリーを設定しましょう。
もっとくわしく運動による消費カロリー量を把握したい方は、カシオの公式HPをご覧ください。あなたの体重に合わせて消費カロリー量が分かります。
ダイエットは摂取カロリーだけでなく食事バランスも大事
ダイエットを成功させるためには、アンダーカロリーを守るのは絶対条件です。そのうえで食事バランスが整っているとダイエットは成功します。
食事バランスを整えるポイントは次の4つです。
- PFCバランスを守る
- ビタミン・ミネラルを摂る
- 食物繊維を摂る
- 水分を摂る
順に確認していきましょう。
1. PFCバランスを考える
食事はPFCバランスを考慮します。
PFCバランスとは、三大栄養素のたんぱく質・脂質・炭水化物の割合のこと。PFCバランスの理想は、P:F:C=15~20%:20~25%:50~60%です。
A子さんの消費カロリーは1642kcalでした。
アンダーカロリーをクリアする1500kcalを目安に食事を摂る場合、
- P:約20%:(1500×0.20)÷4=70g
- F:約22%:(1500×0.22)÷9=35g
- C:約58%:(1500×0.58)÷4=217g
を食べると食事のバランスが良くなります。
※
P(たんぱく質)・・・4kcal
F(脂質)・・・9kcal
C(糖質)・・・4kcal
※すべて1gあたりのエネルギー換算係数
2. ビタミン・ミネラルを摂る
ビタミン・ミネラルなどの微量元素も食事で摂るようにしましょう。ビタミンやミネラルは、食べたものを体で利用するときのサポート役です。
例えば、ビタミンB群は糖質や脂質の代謝、ビタミンCはたんぱく質からコラーゲンを合成するときに欠かせません。ミネラルの鉄や亜鉛が不足すれば、酸素がうまく体に届けられなくなったりたんぱく質が合成できなったりします。
ビタミン・ミネラルが不足すると栄養素がうまく利用できなくなるのです。結果、代謝が落ちて痩せにくくなります。
いろいろな食材をまんべんなく食べ、ビタミン・ミネラルを補うようにしましょう。
3. 食物繊維を摂る
食物繊維も毎食摂るように意識しましょう。食物繊維を摂るとダイエット効果を感じやすくなるからです。
食物繊維はお腹の調子を整えます。腸の調子が良いと栄養素の吸収効率が上がり、代謝が良くなります。
また食物繊維の多い食材は自然に噛む回数が増えるので満腹中枢が働き、食べ過ぎの予防につながります。糖質の吸収を緩やかにする作用もあり、血糖値の急激な上昇を抑えるため、体脂肪を増やしにくいです。
4. 水分を摂る
水分をしっかりと摂りましょう。水分が不足すると代謝がうまくできず、痩せにくい体になってしまうからです。
あなたの体は、体重1kgあたり40mlほどの水分が必要です。食事をバランス良く食べられている方であれば、食材の水分量で半分近くは補えています。
例としてA子さんの必要な水分量を計算してみましょう。A子さんは体重50kgなので、50×40=2000となり、2Lの水分量が必要です。半分を食事で補えていると仮定すると、A子さんは約1Lの水分摂取が必要となります。
【摂取カロリー別】ダイエットメニュー3選
最後に管理栄養士推奨のダイエットメニューを紹介します。
今回は、
- 2500kcal
- 2100kcal
- 1700kcal
の3パターンに分けて紹介するので、参考にしてください。
【2500kcal】ダイエットメニュー
メニュー | kcal | |
朝食 |
|
860 |
昼食 |
|
690 |
夕食 |
|
650 |
間食 | プロテインドリンク | 123 |
合計 | 2323kcal |
トレーニーの方や運動量の多い方は2500kcal前後が適正カロリーになるはずです。
2500kcalを脂質を抑えながら食事だけで補うのは難しいので、間食をうまく利用します。
また、たんぱく質は魚と肉の両方で摂るよう意識しましょう。低脂質かつ高たんぱく質の食材だと食事を整えやすいので、ブロッコリーや大豆もやしのようにたんぱく質の多い野菜をうまく取り入れるのもおすすめです。
【2100kcal】ダイエットメニュー
メニュー | kcal | |
朝食 |
|
750 |
昼食 |
|
560 |
夕食 |
|
600 |
間食 | 焼き芋 | 160 |
合計 | 2070kcal |
多くの成人男性や運動量の多い女性が2100kcal前後になるはずです。
脂質の摂り過ぎを防ぐため、たんぱく質は
- 魚介類
- 赤身肉
- 皮なしの鶏肉
など低脂質の食べ物から選ぶようにしましょう。
食事でたんぱく質を補えている場合はプロテインではなく、焼き芋や蒸しじゃが芋など、糖質と食物繊維を含む芋類で不足カロリーを補うと良いでしょう。
【1700kcal】ダイエットメニュー
メニュー | kcal | |
朝食 |
|
370 |
昼食 |
|
410 |
夕食 |
|
850 |
合計 | 1630kcal |
1700kcalほどになると3食の食事だけで必要なカロリー・栄養素を補いやすくなります。間食の必要はないでしょう。
夕食のカロリーは多くなりやすいですが、魚や大豆製品は良質な脂質を含み、ダイエットをサポートする力があります。たんぱく質の多い食材の中でも脂質にこだわって選ぶことをおすすめします。
【注意】ダイエット中でも極端なカロリー制限はNG
ここまで読んできて「カロリーは低ければ低いだけ痩せるんじゃないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
ダイエット中の極端なカロリー制限はおすすめしません。
理由は2つです。
- エネルギー・栄養不足から代謝が落ちる
- 急激な減量は体調不良を招く
確認していきましょう。
1. エネルギー・栄養不足から代謝が落ちる
基礎代謝を下回るような極端なカロリー制限は、エネルギーや栄養素が不足し、代謝が落ちやすいです。
生きるために必要なカロリーすら補えない場合、体は飢餓状態だと判断します。結果、少ないカロリーでも生きていけるまで代謝を落とし、基礎代謝量を下げます。
少ないカロリー量でも生きていけるようになった体で元の食事に戻せば、リバウンドすることは間違いありません。基礎代謝を維持しながら痩せられるよう、アンダーカロリーは消費カロリーより少し下回るくらいで設定するようにしましょう。
2. 急激な減量は体調不良を招く
極端なカロリー制限で急激に体重が減った場合、体調不良を招く恐れがあります。
例えば、次の症状があらわれやすいです。
- 情緒の不安定
- 生殖機能の停止
- 食事への極度な恐怖心
過度な食事制限を続けると生きることに力が注がれるため、脳の働きや生殖機能の維持に必要なカロリーが足らなくなるためです。
極端なカロリー制限を行うと、足らないカロリーを補うために体脂肪や筋肉を分解します。結果、体重は大幅に減り「痩せた!」と感じることになるのです。
しかし、体は悲鳴をあげています。体の声に耳を傾け、適切なカロリーかつバランスの良い食事を食べられるように工夫しましょう。
まとめ
ダイエット中のカロリーについて、大切なポイントを復習しましょう。
- 食事はアンダーカロリーを守る
- 摂取カロリーは消費カロリーより少し低いくらいで設定する
- 消費カロリーは基礎代謝と身体活動レベルで計算できる
- 極端なカロリー制限は厳禁
ダイエットを成功させるためにカロリー調整は欠かせません。アンダーカロリーを守り、食事バランスを意識しながら、体を大切にダイエットに取り組むようにしましょう。
「自分だけじゃなかなかカロリーコントロールができない」という方は、ダイエットの専門家に相談するのもおすすめです。
このコラムでは、他にもダイエット・ボディメイクに関するお役立ち情報を発信しています。ぜひ他の記事も参考にしてください。