「有酸素運動をするならウォーキングとランニング、どっちがいいのかな」
「ウォーキングをしても痩せないって本当?」
有酸素運動をするとダイエット効果があると聞いたけど、ウォーキングでいいのか、どのくらい続ければいいのかと悩んでしまいますよね。
すばり、ウォーキングはおすすめの有酸素運動です。日常的に取り組めば、ダイエットや健康をサポートできます。
この記事では、
- ウォーキングをおすすめする理由
- ダイエット効果
- 効果が現れる時期
- 正しいウォーキングの方法
について、管理栄養士がくわしく解説します。
「健康的に痩せたい」という方も、ぜひ参考にしてください。
有酸素運動を始めるならウォーキング!おすすめの理由3つ
「運動不足のために有酸素運動をはじめたい」という方におすすめしたいのがウォーキングです。
理由は3つあります。
- 今すぐ始められて継続しやすいから
- 健康維持につながるから
- ダイエット効果があるから
順に説明します。
1. 今すぐ始められて継続しやすいから
ウォーキングは「今すぐ始められる」運動です。
これまで運動をしてこなかった方でも体への負担も少なく済みます。またウォーキングシューズでなくとも、運動靴なら問題なく歩けるので、特別に用意するものも少ないです。
強度が高いわけではなく、息苦しさも感じにくいので、続けやすいでしょう。
特別な用意が無くても今すぐ始められ、かつ継続しやすい点は、ウォーキングならではのおすすめポイント。
2. 健康維持につながるから
ウォーキングを継続すると健康維持につながります。
理由は2つ。
- 全身の筋肉を使えること
- 心肺機能の向上が期待できること
ウォーキングでは全身の筋肉を使います。筋肉は血液中の糖質を利用してエネルギーを得るので、結果として血糖値をコントロールしやすくなります。
血糖値のコントロールがうまくできると、膵臓や血管への負担が減るほか、体脂肪が増えにくくなるため、疾患の予防につながります。
また心肺機能が向上すれば持久力の向上や血流の改善も期待できます。すぐに息が上がってしまう、体が冷えやすいという方も取り入れるメリットがあるでしょう。
3. ダイエット効果があるから
ウォーキングはダイエット効果があります。運動中のエネルギー源として体脂肪を使うからです。
また血糖のコントロールにも関与しているため、血液中の余分な糖を減らす作用もあります。食べ過ぎたあとに少し軽めのウォーキングをするだけでも、ダイエットをサポートできるでしょう。
ただウォーキングは強度が強いわけではないので、消費カロリーはランニングや水泳に比べると多くありません。ダイエット効果をより高めるためには、適切な食事管理とあわせることをおすすめします。
ウォーキングならではのダイエット効果
ダイエットのことだけ考えると「ウォーキングじゃなくても、有酸素運動なら何でもいいんじゃないの?」と疑問に感じますよね。
筆者が特にウォーキングをおすすめする理由は2つあります。
- 体脂肪を効率良く分解できる
- 足腰に負担をかけず遅筋を鍛えられる
順に説明します。
ダイエット効果1. 体脂肪を効率良く分解できる
有酸素運動の中でも効率良く体脂肪を分解できるのがウォーキングです。なぜなら、最大心拍数の60%を維持しやすいから。
最大心拍数(※)とは、1分間に打てる心拍の最大値のこと。体脂肪を分解するためには、60%前後を保てる運動が適切だと言われています。
※最大心拍数=220-年齢
例えば40歳の方であれば、最大心拍数は220-40=180となり、180回/分です。体脂肪を効率良く燃やすのは最大心拍数の60%なので、180×0.6(60%)=108。
体脂肪をエネルギー源として使うためには、心拍数108回/分を維持すると良いと分かります。
具体的には少し息が上がるくらいのペースです。ジョギングでは速すぎるし、散歩では遅すぎる…ウォーキングがちょうど良いペースになります。
ダイエット効果2. 足腰に負担をかけずに遅筋を鍛えられる
ウォーキングは足腰に負担をかけずに全身の遅筋を鍛えられます。
遅筋は筋繊維の一種で、長い時間活躍できるのが特徴です。鍛えても太くならないため、ゴツゴツした体になりません。
遅筋は年齢を重ねても減りにくいです。若いうちから鍛えておくと筋肉量を維持しやすくなります。
筋トレで鍛えられるのは速筋で、遅筋を鍛えることはできません。有酸素運動であれば遅筋を鍛えられます。
ただジョギングや水泳など強度の強い物は運動不足の方が急に取り組むと、怪我をするリスクが上がります。よって足腰に負担をかけずに取り組めるウォーキングの方が、幅広い年齢の方におすすめです。
ウォーキングはランニングよりも初心者向きの有酸素運動
有酸素運動をする際、ウォーキングとランニングで迷う方もいるのではないでしょうか。どちらが合っているかは「個人によって異なる」が答えです。
ただウォーキングは有酸素運動の中でも強度が低いです。体に負担が少ないので、初心者の方だけでなく、子どもや高齢の方にもおすすめできます。
一方のランニングは、有酸素運動の中でも強度が高いです。トレーニングに慣れている方や普段から筋肉を動かしている方でなければ、体への負担は大きくなるでしょう。
またランニングをすると最大心拍数の80%程度まで上がります。体脂肪の分解に適している60%をゆうに越えてしまいますし、素人の場合は苦しさもあって継続は難しくなります。
よって、初心者の方やダイエット目的の方であれば、ウォーキングがおすすめです。運動に慣れている方や心肺機能がある方は、ランニングでも大丈夫です。
ダイエット中にウォーキングするときの4つのポイント
ウォーキングを適当に行うのは勿体ないです!
ダイエット効果をあげるため、4つのポイントを意識してみましょう。
- 正しい姿勢を意識する
- 息が上がる速さで歩く
- 30分/回を目安にする
- 空腹の状態は避ける
くわしく見ていきましょう。
ウォーキングのポイント1. 正しい姿勢を意識する
正しい姿勢を意識して歩くようにしましょう。
姿勢が整うと、血流の改善や全身の筋肉の活動など、ウォーキングによる効果が上がります。
正しい姿勢は以下の通りです。
- 足幅は肩幅くらい(モデル歩きは×)
- 顎をひいて前を向く
- 足の付け根から動かすイメージ
- へそに力を入れる
- 足は踵(かかと)から着地する
以上を意識して取り組んでみてください。
ウォーキングのポイント2. 息が上がる速さで歩く
ウォーキングは息が普段より少し上がるくらいの速さで行いましょう。最大心拍数の60%前後を維持するためです。
実際に心拍数を測るのが分かりやすいのですが、なかなか難しいですよね。
歩いていて「ふっふっふっ」と息が弾むくらいの速度がおすすめです。
ほんのり汗ばむスピードで歩くと、体脂肪が分解されやすくなります。
ウォーキングのポイント3. 30分/回を目安にする
ウォーキングは1回で30分を目安に取り組みましょう。だいたい20分経過したくらいから体脂肪がエネルギー源に変わりはじめるからです。
有酸素運動は一定の時間継続することで体脂肪をエネルギーに変換します。しかし時間が長すぎると筋肉まで分解してしまうのです。
よってウォーキングをする際は、1回で30分~1時間を目安に取り組むことをおすすめします。
ウォーキングのポイント4. 空腹の状態は避ける
空腹の状態でウォ―キングをするのは避けましょう。体脂肪だけでなく筋肉まで分解する可能性が高くなるからです。
お腹が空いているときは、血糖値が下がっている状態です。血糖値が低い状態で有酸素運動をすると、エネルギーが足らず、お腹が空いていないときよりも早い段階で筋肉が分解されます。
筋肉が減ると基礎代謝も減ってしまいます。ダイエット中にウォーキングをする際は筋肉が過度に減らないよう、エネルギー不足に気をつけましょう。
ウォーキングのダイエット効果は二ヶ月以降から
ウォーキングだけでダイエットをする場合、効果を感じるまで二ヶ月ほどかかります。
ウォーキングはすぐにダイエット効果が出るわけではありません。消費エネルギー量が多くないため、体脂肪をすぐに減らすことはできないのです。
体脂肪を1kg減らすためには、7200kcalを消費しなければいけません。
一方、ウォーキングの消費エネルギーは30分で約110kcal(※)程度。
※カシオ「Ke!san」で体重50kgの場合
つまり体脂肪1kgをウォーキングだけで消滅するには、約33時間取り組まないといけないのです。1日30分歩くとすると、単純に65日かかるということですね…。
ウォーキングは間違いなくダイエット効果があります。しかし、ウォーキングだけでは効果を感じるまでに時間がかかるのです。
ウォーキングのダイエット効果を上げる3つのコツ
ウォーキングによるダイエット効果は、コツを活かせば早い段階で感じられます。
方法は3つです。
- 食事のバランスを整える
- 筋トレをする
- 水分を1日1.5L以上とる
くわしい内容を確認しましょう。
ダイエット効果アップのコツ1. 食事のバランスを整える
有酸素運動をしながらダイエットをするのであれば、食事のバランスを整えましょう。太った原因は、食事にある場合が多いからです。
食事のバランスを整えるためには、
- PFCバランス
- ビタミン・ミネラル
- 食物繊維
を意識します。
PFCバランスとは、三大栄養素であるたんぱく質(P)・脂質(F)・糖質(C)のバランスのことです。総摂取エネルギー量に対し、P:F:C=20%:20%:60%の割合で食事をとるとバランスが良くなります。
加えてビタミン・ミネラルで代謝を支え、食物繊維で腸の活動をサポートします。
もちろん、ダイエット中の食べ過ぎは論外。摂取カロリーは消費カロリーの90%ほどを目安にするとよいでしょう。
ダイエット効果アップのコツ2. 筋トレをする
ウォーキングに平行し、筋トレを行うようにしましょう。ウォーキングでは遅筋しか鍛えられないからです。
筋繊維には2種類あり、ウォーキングでは遅筋、筋トレでは速筋を使います。遅筋は減りにくいですが、速筋は使わないとどんどん減ってしまうので、筋トレで定期的に動かした方が良いです。
1日おきでもいいので、腹筋や背筋など、大きな筋肉を動かす筋トレを取り入れてみましょう。
ダイエット効果アップのコツ3. 水分を1日1.5L以上とる
水分を1日に1.5L飲めるように意識してみましょう。水分は代謝に欠かせないので、ダイエット中も必須です。
不足すると、血液の流れや筋肉の活動などが悪くなり、ダイエットの妨げになります。
体重1kgあたり40mlの水分が適量です。50kgの方であれば、1日約2Lとなりますね。
食事から約1Lは補給できるので、だいたい1~1.5Lを水やお茶で飲むようにしましょう。
まとめ
有酸素運動のメリットを感じるためには、長期的に取り組むことが大切です。いくつになっても続けられるウォーキングは、子どもから高齢者までおすすめできる有酸素運動になります。
また食事改善や筋トレと並行した方がダイエット効果は感じられます。水分の摂取を心がけ、代謝の向上を意識しましょう。
このコラムでは、他にもダイエット・ボディメイクに関するお役立ち情報を発信しています。ぜひ他の記事も参考にしてください。