「糖質制限って何?糖質だけ制限すれば痩せるの?」
「具体的に何をどのくらい制限すればいいんだろう?」」
こんな疑問を抱いていませんか?
結論からいうと、正しい方法で行えば糖質制限はダイエットに効果的です。とはいえ、やり方を間違えると体調を崩したり逆に太ったりします。だからこそ、はじめに正しいやり方を学ぶべきです。
この記事では、糖質制限をして4カ月で6㎏痩せることに成功した筆者の体験談をもとに、糖質制限の正しいやり方を詳しく解説します。
なお筆者は看護師であり身体のしくみに詳しいです。またダイエット指導をするうえで、やり方に関する資料を数多く作成しました。専門的な視点から根拠に基づいた内容をお伝えします。
糖質制限でダイエットをしようと考えている人や糖質制限をしようかどうか悩んでいる人は、ぜひ最後までご覧ください。
糖質制限とは
糖質制限とは1日に摂取する糖質量を制限する食事法で、2012年ころからダイエット法として注目されています。
糖質は身体のエネルギー源となる栄養素です。摂取すると血糖値が上がりインスリンが分泌され血糖値を下げます。インスリンには余ったブドウ糖を脂肪として細胞の中に取り込む性質もあるため、糖質を摂りすぎると脂肪が蓄積して太るのです。
糖質の摂取量を減らして血糖値を上げないこと、インスリンの急激な分泌を抑えることが糖質制限には重要です。
糖質制限の正しいやり方
糖質制限の正しいやり方は、以下のとおりです。
- 1日に摂取する糖質量を決める
- たんぱく質と脂質は積極的に摂る
- カロリーオーバーしない
1つずつ具体的な数値を用いて解説します。
1日に摂取する糖質量を決める
糖質制限を始めるにはまず、1日に摂取する糖質量を決めましょう。
糖質制限には1日に摂取する糖質量によって4つの方法があります。
- スーパー糖質制限(ケトジェニック)
- プチ糖質制限
- スタンダード糖質制限
- ロカボ
1つずつ解説します。
スーパー糖質制限(ケトジェニック)
スーパー糖質制限とは、1日に摂取する糖質量を30〜60gにします。調査した中では50g以下に制限するものもあります。
短期間で大幅に減量したい人や体脂肪を減らしたい人に適した方法です。これはズバリ3食とも主食を食べないこと。かなり糖質制限が厳しいですが、その分効果が早く出るのでダイエット成功への一番の近道かもしれません。
プチ糖質制限
プチ糖質制限とは、1日に摂取する糖質量を110〜130gにします。
健康を維持しながら少しだけダイエットをしたい人や食生活を大幅に変えたくない人におすすめの方法です。朝・昼の主食を半分にして夕の主食をカットするだけでプチ糖質制限になります。
スタンダード糖質制限
スタンダード糖質制限とは、1日に摂取する糖質量を70〜100gにします。
確実に減量したい人や筋肉をつけて痩せやすい身体を目指したい人におすすめです。
1日1食だけ糖質を摂取することが例として挙げられます。できれば夕の糖質を控えるとダイエット効果が高まるでしょう。
ロカボ
ロカボとは、1日に摂取する糖質を70〜130gにします。
食・楽・健康協会の山田医師が推奨する、ゆるやかに糖質制限をする方法です。減量よりも高血糖や高血圧、動脈硬化など将来起こり得る病気の予防に重きが置かれています。
よりダイエットの効果を期待する場合は、ロカボ以外の糖質制限を選びましょう。
たんぱく質と脂質は積極的に摂る
厚生労働省(以下:厚労省)の食品摂取基準によると、たんぱく質の1日推奨量は男性60〜65g、女性50gとなっています。とはいえ、糖質制限中は糖質を制限している代わりに、推奨量より多めにたんぱく質を摂ることが必要です。
スーパー糖質制限の場合、たんぱく質は体重1㎏に対して2.2〜2.3g/日を目安に摂取しましょう。
例えば体重50㎏であれば、110〜115g/日摂るのが理想です。
プチ糖質制限とスタンダード糖質制限の場合、たんぱく質は体重1㎏に対して最低1.5g/日は摂取しましょう。
例えば体重50㎏であれば、最低75g/日の摂取量が必要です。
ロカボの場合、たんぱく質量に制限はありません。とはいえ食品摂取基準による1日推奨量は最低でも摂取しましょう。
脂質に関して厚労省の食品摂取基準によると、男女とも1日の摂取エネルギーの20〜30%
の量となっています。ちなみに脂質量は、1日の摂取エネルギーから糖質量とたんぱく質を引いた分(脂質の場合はカロリー計算)です。
三大栄養素の1g当たりのカロリー
たんぱく質 4kcal/g 脂質 9cal/g 炭水化物 4cal/g |
例をあげて脂質量を計算してみましょう。
例)体重50㎏で1日の摂取エネルギーが2000kcalの場合
■1日の糖質量が130gの場合のカロリー 130g×4kcal=520cal
■体重に対してたんぱく質量2.3g/日の場合のカロリー 50㎏×2.3g×4cal=460cal ■脂質量(kcal)=2000cal−(520+460)kcal=1020kcal |
脂質は9kcal/gなので、1020÷9=約113gの脂質量が摂取できます。
脂質は魚や肉にも含まれています。たんぱく質をとれば、比較的簡単に必要な脂質量を摂取できるでしょう。
カロリーオーバーしない
ダイエットの基本的な考え方は、カロリーオーバーしないこと。カロリーオーバーとは、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ることです。カロリーオーバーしないためにはまず、あなたの1日の消費カロリーを知っておく必要があります。
消費カロリー=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル |
性別、年齢ごとの基礎代謝量と身体活動レベルを表にまとめました。目安として参考にしてみてください。
性別 | 男性 | 女性 |
年齢 | 基礎代謝量(kcal/日) | 基礎代謝量(kcal/日) |
15〜17歳 | 1610 | 1310 |
18〜29歳 | 1520 | 1110 |
30〜49歳 | 1530 | 1150 |
50〜69歳 | 1400 | 1100 |
70歳以上 | 1290 | 1020 |
身体活動レベル別にみた活動内容
身体活動レベル※ |
低い(Ⅰ) | 普通(Ⅱ) | 高い(Ⅲ) |
1.50
(1.40〜1.60) |
1.75
(1.60〜1.90) |
2.00
(1.90〜2.20) |
|
日常生活の内容 |
生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合 |
座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買い物・家事・軽いスポーツ等のいずれかを含む場合 |
移動や立位の多い仕事への従事者、あるいはスポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合 |
※代表値 ()内はおよその範囲
身体活動レベルの数値に幅があります。たとえⅠでもⅡ寄りの日常生活の内容であれば、1.60として構いません。
例)45歳(女) Webライター、子育て中で送迎あり、毎日家事と買い物に出かけている場合
1150(kcal/日)×1.75(Ⅱ)=2012kcal/日 |
となり、2012kcal/日の消費カロリーを上回らないようにします。
糖質制限では糖質量を抑えつつ、カロリーオーバーにならないように行うことが重要です。
糖質制限の4つのメリット
糖質制限のメリットは、以下のとおりです。
- 脂肪燃焼効果がある
- 手軽に始めやすい
- 比較的効果が表れやすい
- 筋肉量が減りにくい
1つずつ解説していきます。
メリット1.脂肪燃焼効果がある
糖質を制限することで身体の中では、減った糖質に代わって脂肪(脂質)をエネルギー源とするため、脂肪がどんどん燃焼されます。そのため糖質制限をすると脂肪燃焼効果が高まり減量につながるのです。
メリット2.手軽に始めやすい
今まで摂っていた主食を半分の量にするだけで糖質が制限できます。難しいカロリー計算や食材の重さを量る手間が省けるため簡単に始められるのが特徴です。
メリット3.比較的効果が表れやすい
糖質制限を始めて2週間程度で体重が減り始めます。これは脂肪が燃焼しエネルギーとして消費され始めるのが2週間といわれているからです。効果が表れるのが早いとモチベーションが上がって継続につながりますね。
メリット4. 筋肉量が減りにくい
筋肉はたんぱく質からできています。たんぱく質を積極的に摂る糖質制限では、筋肉量が減りにくいのです。細く見せたい女性も、筋肉があると引き締まって見えます。例えばプリっと上がったきれいなお尻はトレーニングしないと手に入りません。さらに筋肉があればあるほど、基礎代謝量が増えて痩せやすいのです。そのためにも必要な量のたんぱく質を摂ることが大切です。
糖質制限の3つのデメリット
糖質制限のデメリットは以下のとおりです。
- 便秘になりやすい
- 体調不良になる場合がある
- 食事量が極端に少なくなる
1つずつ解説します。
デメリット1.便秘になりやすい
食物繊維や水分の不足によって便秘になります。食物繊維は腸内環境を整え、水分は便を柔らかくして出しやすくしてくれるので積極的に摂りましょう。加えて食事量が極端に少ないと便をつくることができません。糖質以外の食材はたくさん取り入れてくださいね。
デメリット2.体調不良になる場合がある
最初から糖質を減らしすぎると体調不良になります。例えば頭が痛い、ふらふらする、集中力がない、気持ちが悪いなどの症状です。これは身体に必要な糖質が極端に減ったために起こります。徐々に糖質量を減らしていきましょう。
デメリット3.食事量が極端に少なくなる
糖質を制限しないといけないと思うあまり、それ以外のタンパク質や脂質も減らしてしまうことで起こります。食事量が少なくなりすぎると、身体が危機を感じて元の体重、あるいはそれ以上の体重に戻ろうとするのです。これをホメオスタシスといいます。制限するのは糖質のみです。カロリーオーバーしない程度に十分な食事量を摂りましょう。
糖質制限でダイエットに成功した私の体験談
私自身が4カ月の糖質制限で約6㎏の減量に成功した体験談を紹介します。
私が糖質制限を始めようと思ったきっかけは、半年後のダンス発表会で衣装をかっこよく着たいと思ったことです。マイナス6㎏を半年で落とそうと設定しました。
元々パンとお菓子が大好きで、アイスクリームを毎日2,3個食べたり某カフェのホットラテ(ココアパウダーとチョコレートソース追加)を週3,4回は飲んだりしていました。
私が実践した糖質制限の内容
- 1日の糖質制限量:(40g)×3食+10g(間食)=130g/日
- 小麦パンを玄米クラッカー、クリーム玄米ブランに変更
- 白米はチートデイのときだけ食べる
- 某カフェのホットラテを糖質60%オフのカフェオレに変更
- アイスクリームを糖質オフのお菓子に変更
糖質制限中の食事内容の一例
メニュー | |
朝食 | ■緑黄色野菜1/2P+ゆで卵1個+サラダチキン1/2Pドレッシング20ml
■クリーム玄米ブラン2枚 ■糖質60%オフのカフェラテ |
昼食 | メイン料理が肉あるいは魚の定食
ご飯は少なめ |
夕食 | 肉料理あるいは魚料理
野菜 |
朝食はほぼ同じものを食べていました。もともと朝食は食べないことが多かったので量は少なめです。
1日のうちで昼食の量が一番多いです。おかずを選択できるスタイルだったので、糖質の少ないものを選んでいました。夕食は軽めです。
糖質制限の他に30分の筋トレを2,3日に1回のペースで実施しました。
減量までの経過
■糖質制限を開始して2週間後から体重が減り始めたので運動を開始した。
■微増微減を繰り返しながら緩やかに体重が減っていき4か月後に6㎏減量した。 ■目標期限まで2か月残っていたので、引き続き糖質制限を継続した。 ■停滞期に少しストレスを感じてきたため、週に1回チートデイを設けることにした。 ■チートデイは食べすぎに注意しながらも、比較的NG食も食べた。 ■チートデイを取り入れた後の糖質制限でさらにマイナス1㎏体重が減った。 ■開始から半年が経過し、計マイナス7㎏の減量に成功した。 |
私もかつて、さまざまなダイエットをしては挫折したりリバウンドしたりしました。糖質制限ではストレスなく続けられています。1食40gは量としては意外とあるので、空腹がつらいと感じることもなかったです。1日の糖質量を下げるともう少し減量できたかなと感じています。
成功者が語る効果的に痩せるための4つのコツ
成功者が語る効果的に痩せるための4つのコツは、以下のとおりです。
- コツ1:週に1回チートデイをつくる
- コツ2:2,3日に1回筋トレを30分行う
- コツ3:食べた内容と糖質量を毎日記録する
- コツ4:目標体重になっても緩めの糖質制限を継続する
1つずつ説明していきます。
コツ1:週に1回チートデイを作る
チートデイとは1日だけ糖質量を気にせずに食べる日のことです。糖質制限を続けていると、糖質が減ったことで身体が危機を感じ、代謝を下げて消費カロリーを抑える現象が起こります。これが停滞期です。
停滞期に制限なく糖質を食べることで、身体に危機じゃないよと認識させることができます。その結果再び糖質制限すると体重が減り始めるのです。またストレス解消にもなるのでチートデイの翌日から糖質を制限しやすくなります。
チートデイで行ったことは以下のとおりです。
- 1日3食、糖質量は制限なく摂る
- バランスの良い食事内容にする
- お菓子を食べるのは15時まで
- 次の日の朝は体重を測らない
チートデイはモチベーションを維持するためには必要です。たくさん食べることで心も身体もリセットでき、ダイエットの継続につながります。
コツ2:2,3日に1回筋トレを30分行う
筋トレは筋肉量の増加につながります。筋肉が増えると基礎代謝量も増えるので痩せやすい身体になるのです。ただし筋トレは毎日行わないようにしましょう。なぜなら筋トレをすると筋肉の元である筋繊維が壊れるからです。
筋肉は壊れた筋繊維が修復するときに増えます。これを超回復といい筋繊維の修復には24〜72時間かかるのです。よって2,3日あけて筋トレをすると効果が上がります。
私が行っていた筋トレは以下のとおりです。
- プランク(体幹を鍛える)
- ヒップリフト(お尻の筋肉を鍛える)
- スクワット(下半身全体を鍛える)
- ツイストクランチ(腰回りを鍛える)
30分程度の筋トレであれば、ムキムキになりません。バランスよく筋肉が付いたメリハリのある身体になるでしょう。
コツ3:食べた食事内容と糖質量を毎日記録する
記録をすることで振り返りができて継続につながります。毎日の体重も記録しておくと食事内容と関連づけられるのでより効果的です。食品の糖質量も自然と覚えられるため、買い物や外食の際に役立つでしょう。
糖質制限が終わった現在も記録をしています。体重が少し増えたかな、食べ過ぎたかなと感じた時に記録を見直して糖質量の再確認ができるのです。
記録をすることはダイエットの継続にもつながります。
コツ4:目標体重になっても緩めの糖質制限を継続する
目標体重になった途端たくさん食べると、確実にリバウンドします。せっかくがんばった減量が無駄にならないように、体重が減った後も緩めの糖質制限を続けることがポイントです。
現在1日160g前後のゆるい糖質制限を継続していますが、体重は増えていません。家族と外食をしたり自分の好きなものを食べたりしています。
目標体重になったら制限する糖質量を少し増やして、体重の増減を確認しながら自分で調整していきましょう。
糖質制限に向かない人
糖質制限に向かない人は以下のとおりです。
- 血糖値を下げる薬やインスリン注射をしている人
- 内臓疾患があり、通院治療されている人
- 炭水化物が好きで制限したくない人
- もともと炭水化物を食べない人
糖質制限は誰でもできるとは限りません。糖質制限を始める前に、食生活や体調を考慮したり、通院しているのであれば医師に相談したりして、始めるかどうか検討することが必要です。
まとめ:糖質制限は正しく行えばダイエットの成功につながる
糖質制限は手軽に始められる食事法です。正しく行えばダイエット効果があります。
糖質制限を正しく行うためのポイントは以下のとおりです。
- 1日の糖質量は70〜130gの範囲で設定する
- 特にたんぱく質は積極的に摂る
- 水分と食物繊維は毎日摂る
- 急激に糖質を減らさない
さらに効果的に痩せるためのコツは、以下の4つです。
- 停滞期に入ったらチートデイを1日だけつくる
- 痩せやすい身体づくりのために筋トレを行う
- 継続するために食べた糖質量を記録する
- 理想体重になっても糖質制限をやめない
この記事を参考に糖質制限に取り組み、理想の身体を手に入れてくださいね。
このコラムでは、他にもダイエットに関する食事のお役立ち情報を発信しています。
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