「糖質制限に筋トレは必要なの?」
「筋トレをしなくても糖質制限だけで痩せるでしょ。」
「ムキムキになるからできれば筋トレはしたくない。」
筋トレに対してこんな疑問やイメージを抱いている人が多いのではないでしょうか。
結論からいうと、糖質制限中に筋トレは必須です。筋トレをすれば痩せやすい身体を手に入れることができます。反対に筋トレなしではリバウンドしてしまうので注意が必要です。
リバウンドをしないためにも、糖質制限中に行う筋トレについて正しい知識を身につけることが大切です。
この記事では、以下について解説します。
- 筋トレの必要性
- 筋トレのメリット
- 効果をあげる6つのコツ
なお筆者は看護師であり専門的な知識を有しています。また糖質制限中に実際に筋トレを行っていたので、実体験を交えた内容も合わせてお伝えできます。
糖質制限に筋トレを取り入れようか迷っている人や、筋トレで引き締まった身体を手に入れたい人はぜひ最後までご覧ください。
糖質制限中に筋トレが必要な理由
糖質制限中に筋トレが必要な理由は、筋肉量を増やすためです。糖質制限をすると身体の中の糖質が少なくなり、エネルギー不足になります。
不足したエネルギーを補うために、筋肉のもとであるたんぱく質が分解され、エネルギーが作られるのです。これを「糖新生」といいます。
糖質制限をしているかぎり、糖新生は起こります。糖新生が続くと、筋肉が分解されてどんどん減っていくため、糖質制限中は筋トレを行うことがとても重要なのです。
糖質制限と筋トレを両立する4つのメリット
- 痩せやすい身体になる
- 引き締まった身体になる
- ストレスが解消する
- むくみが解消する
1つずつ解説します。
メリット1:痩せやすい身体になる
筋トレを行うと痩せやすい身体になります。理由は筋肉量が増えて代謝が上がるからです。
代謝とは身体の中で起こるさまざまな反応(合成・分解など)のことで、具体的に以下の反応があります。
- たんぱく質を合成して筋肉を作る
- 摂取した食べ物を分解して細胞内に取り込む
- 身体を動かしてエネルギーを消費する
筋肉が多いほど代謝が良く、食べたものが身体の中でたくさん利用されるので、消費カロリーが増えて痩せやすくなります。
また代謝の1つである基礎代謝は、人が生きていくために必要な最低限のエネルギーのことです。人は安静にしている間でも自然とエネルギーが消費されています。たとえば呼吸や循環、体温の維持にも自然とエネルギーが使われているのです。
筋肉量が多ければ多いほど基礎代謝が高く、何もしていなくてもエネルギーがたくさん消費されるので痩せやすくなります。
メリット2:引き締まった身体になる
筋トレをすると引き締まった身体になります。糖質制限だけ行っていると糖新生の影響で筋肉が減っていき、体重は減ったけれど身体はたるんだままという可能性もあるのです。
メリハリのある身体を作るには筋トレが適しています。一度に全身の筋トレをしなくても大丈夫。この後に述べますが、まずは一番大きな筋肉である太ももやお尻の筋肉から鍛え始めましょう。筋肉量がより増えて基礎代謝もアップします。
身体が慣れてきたら腕やお腹、背中、足など徐々に鍛える部位を変えていきましょう。最終的に全身の筋トレが行うとよりバランスの取れた身体になりますよ。
メリット3:ストレスが解消する
筋トレを行うとストレスが解消します。それはセロトニンというホルモンが影響しているからです。セロトニンはしあわせホルモンとも呼ばれており、筋トレを行うとたくさん分泌されます。精神を安定させたり気分を高めたりする効果があるのです。
ダイエットにはストレスがつきものですが、筋トレをすることでストレス解消ができてダイエットの継続につながります。
またセロトニンには、メラトニンという睡眠を促すホルモンを作る働きもあります。夜に熟睡できれば朝はすっきりと目覚め、日中意欲的に筋トレに励むことができるでしょう。
筋トレには筋肉を増やすだけでなく、メンタルを強くしたり質の良い睡眠を助けたりする効果があります。糖質制限中には積極的に筋トレを取り入れてみてください。
メリット4:むくみが解消する
筋トレで筋肉量が増えると、筋肉のポンプ作用が高まるためむくみが解消します。ポンプ作用とは、身体の末端(足先)に溜まった水分を血管の中に引き込んで心臓に戻すことです。
たとえば夕方になると足がむくんで、ブーツのファスナーが上まで上がらないなんて話をよく聞くと思います。筋トレによって筋肉のポンプ作用が高まれば、すっきりとした細い足首とキュッと引き締まったふくらはぎになるでしょう。
糖質制限中に行う筋トレの効果を上げる6つのコツ
- コツ1:筋トレ前に糖質を摂取する
- コツ2:筋トレ後に糖質を摂取する
- コツ3:筋トレ後にたんぱく質を摂取する
- コツ4:筋トレの頻度は3日に1回にする
- コツ5:いきなり過度なトレーニングをしない
- コツ6:長期的に取り組む
1つずつ解説します。
コツ1:筋トレ前に糖質を摂取する
筋トレをはじめ、運動に必要なエネルギー源は糖質だけなので、筋トレをする3時間前に糖質を摂取することが大切です。
具体的な糖質の摂取量は体重1㎏あたり1〜4gです。たとえば体重が50㎏の場合、50〜200gの糖質量が筋トレ前に必要となります。ちなみにコンビニの具材入りおにぎり1個が35g前後、バナナ1本20g弱です。
筋トレを開始する時間によって食事内容が変わるという情報があったので紹介します。
筋トレをする2時間以上前の食事
・糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む食事(例:和定食) ・油ものは避ける |
筋トレをする1〜2時間前の食事
・主食中心の食事(おにぎり、パン、うどん) |
筋トレをする30分〜1時間前の食事
・糖質中心の食事(おにぎり、バナナ、カステラ) |
筋トレをする30分前
・バナナ、野菜ジュース、オレンジジュース |
筋トレ前の糖質摂取方法にはいくつかありますが、体重1㎏あたり1〜4gの糖質量を目安に摂取することを基本として摂取することを心がけてくださいね。
コツ2:筋トレ後に糖質を摂取する
筋トレで使い果たした筋肉内のグリコーゲン(糖質が筋肉に取り込まれる際の形)の回復を促すために、筋トレ後に糖質を摂取する必要があります。
具体的な量は体重1㎏あたり1時間に1.0〜1.2gの糖質を、筋トレ後30分以内に摂取するのが効果的です。
筋肉内のグリコーゲンが回復するピークが筋トレ後1時間であり、この時間に合わせて糖質を摂るのが良いという情報もあります。
筋トレ後に糖質を摂取する時間に幅はありますが、筋トレ後30分〜1時間以内を目安に摂取することが大切です。失われたエネルギーを補充するためにも、糖質を摂取することを忘れないようにしましょう。
コツ3:筋トレ後にたんぱく質を摂取する
筋トレ後にたんぱく質を摂取する理由は、壊れた筋繊維の修復とたんぱく質の合成を促進させるためです。たんぱく質の合成が促進すれば、筋肉量の増加が期待できます。
筋繊維:筋肉の最小単位。筋繊維がたくさん集まって筋肉となる |
筋トレ後に摂取するたんぱく質の量は、体重1㎏あたり0.25〜0.3gです。例えば体重50㎏の場合、たんぱく質の摂取量は12.5〜15gになります。ちなみに卵1個のたんぱく質量は6.2g前後、手軽に摂れるプロテインバーが11g弱です。
たんぱく質を摂取するタイミングは筋トレ直後から30分以内がベスト。その理由は壊れた筋繊維の修復やたんぱく質が合成されるピークが筋トレ終了後1時間だからです。
とはいえ、2017年の国際スポーツ栄養学会で、筋トレ後24時間は筋肉内でたんぱく質の合成が行われていると発表されました。そのため現在は筋トレ後24時間以内に、たんぱく質を摂取しても効果があるといわれています。(1)
筋トレが終わった後にたんぱく質を摂るように努めましょう。そうすれば筋肉が維持、あるいは増量して痩せやすい身体に一歩近づきます。
(1)出典:庵野 拓将「科学的に正しい筋トレ 最強の教科書」株式会社KADOKAWA 2019. p1711
コツ4:筋トレは週2回にする
筋トレを週2回にする理由は、壊れた筋肉は休ませることで成長するからです。
トレーニングをすると筋肉は壊れ、壊れた筋肉(厳密には筋繊維)が修復する過程で筋肉が大きくなります。この筋トレ後に起こる筋力の向上や筋肥大の現象を超回復というのです。
超回復は筋繊維が壊れて24〜72時間に起こるといわれています。そのため筋トレをしたら1〜3日ほど休息日を設けるのが効果的です。
超回復のために、筋トレは毎日行わないようにしてくださいね。
コツ5:いきなり過度なトレーニングをしない
けがをしたり疲れたりして長続きしないため、いきなり過度なトレーニングをしてはいけません。過度なトレーニングとは、いきなり1時間筋トレを行ったり、初心者がスポーツジムのマシンをむやみに使って鍛えたりすることです。
ダイエットの成功にはある程度時間がかかります。そのためにも最初から飛ばしすぎないようにしましょう。ひとまず1セット10〜15回、1日3セットからスタートしてみてください。
身体が慣れて筋トレが楽しくなってきたら、少しずつ時間を延長したり強度を上げたメニューに変えたりしてみてくださいね。
コツ6:長期的に取り組む
筋トレを始めてすぐに効果が出るわけではないので、長期的に取り組むことが必要です。
筋肉の細胞が入れ替わるには2ヶ月かかります。ちなみに骨の細胞の入れ替わりは3ヶ月です。そのため最低3ヶ月は筋トレを続けましょう。
身体に変化が出てきたらモチベーションが上がってさらなる継続につながりますよ。
筋トレで1番鍛えるべき部位
筋トレで1番鍛えるべき部位は太ももです。人間の身体の中で一番大きい太ももの筋肉(大腿四頭筋)を鍛えると、元々多い筋肉量がさらに増えて基礎代謝もより高まります。
太ももは日常生活の中で身体を支えたり、歩いたり、座ったりと一番よく使う場所。筋肉が増えると代謝が上がって脂肪燃焼効果がさらに高まるのです。
太ももの裏(ハムストリングス)と大殿筋(お尻)も連動して鍛えられるので、さらに筋肉量が増します。
簡単にできる太ももの筋トレメニューはスクワットです。私も糖質制限中に実際に行っていました。継続することでサイズダウンしましたよ。
スクワットの方法とポイントを以下にまとめましたので、すきま時間にぜひ取り組んでみてください。
【方法】
- 足は肩幅と同じくらいに開き、足先を少し外側に向ける
- 股関節からお尻を後ろに引きながら曲げる
- 太ももが床と平行になったら3秒静止する
- ゆっくり元に戻す
【ポイント】
- ひざとつま先は同じ向きにする
- ひざがつま先より前に出ないように、息を吐きながら曲げる
- 頭から腰まで一直線にする
- 大腿四頭筋を意識しながら、1回の動作はゆっくりと行う
まとめ:糖質制限と筋トレの両立でメリハリのある身体を実現
今回は、糖質制限中の筋トレついて解説しました。
まとめると以下のとおりです。
- 糖質制限中は糖新生による筋肉量の減少を抑えるために筋トレは必ず行う
- 筋トレを行えば痩せやすい身体になるため、糖質制限をやめてもリバウンドしづらくなる
- 効率よく筋肉量を増やすにはスクワットが最適
- 糖質制限中であっても、エネルギー源である糖質を筋トレ前後に摂取する
糖質制限は一生行うものではありません。ダイエットに成功したなら少しずつ糖質量を増やしていきましょう。
リバウンドしないために、糖質制限をやめた後も筋トレを継続することをおすすめします。
筋トレの効果を上げるためのコツを取り入れながら、メリハリのある身体を目指して根気強く取り組んでみてください。
このコラムでは、他にもダイエット・ボディメイクに関するお役立ち情報を発信しています。
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