「懸垂をやっても背筋に効いている感覚がない」
「懸垂で背筋の筋肉を鍛えるには?」
懸垂は誰もが知っている自重トレーニングですが、負荷が高く思うようにできない人も多いのではないでしょうか。
せっかく取り組んでも効果が実感できないと、残念な気持ちになってしまいますよね。懸垂は背筋の筋肉を鍛えるのに最適なトレーニングです。
背筋が鍛えられると、美しいボディラインが作れるでしょう。しかし正しいやり方で実践しないと効果が半減してしまいます。
こちらでは懸垂ができない理由や、背筋を鍛えるために意識するポイントを解説します。
背筋を鍛えるためのトレーニング4選も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
懸垂が背筋の筋力アップに効果的な理由
筋トレで刺激しにくい背中の筋肉を中心に、懸垂は上半身の筋肉を効率良く鍛えられます。筋力アップが見込めるのは、主に以下7つです。
- 広背筋
- 長背筋(脊柱起立筋)
- 上腕筋
- 上腕三頭筋
- 上腕二頭筋
- 三角筋
- 僧帽筋
やり方によっては大胸筋や腹直筋に効く懸垂もあります。
大きな筋肉のひとつである広背筋は、鍛えると基礎代謝がアップして太りにくくなるでしょう。
背筋が引き締まると、逆三角形の体型に近づきスーツがきれいに着こなせます。
懸垂ができない理由3つ
懸垂ができないのは、やり方の問題だけではありません。理由について以下の3つにまとめました。
- 筋力が不足している>
- 体重が重い
- フォームが崩れている
ひとつずつ確認していきましょう。
1. 筋力が不足している
懸垂は自分の体を持ち上げる負荷の高いトレーニングです。
上半身の筋肉を幅広く使うため、筋力が弱いと体を引き上げられません。ある程度の筋肉をつけてから懸垂に取り組みましょう。
初心者は事前に以下のような部位を鍛えます。
- 背中
- 腕
- 握力
握力が弱い人はバーから手が離れやすくなり、予期せぬ落下に繋がる場合があります。
筋力が足りない状態で無理をすると、フォームが崩れたり、背中や腕を痛めたりしてしまいます。
無理にやろうとせず、マシンなどで各部位の筋力をアップさせ、斜め懸垂から始めるのが良いでしょう。
バーにぶら下がるだけでも、握力や広背筋に刺激が入りますよ。
2. 体重が重い
懸垂は自分の全体重を支える自重トレーニングのため、体が重いと負荷が高くなり、筋力で引き上げられないこともあるでしょう。
懸垂ができない人は、体重が原因かもしれません。体重が80kgと50kgの人を比べると、30kgの違いがあります。
体重の差が負荷の差になるので、筋肉量の多いマッチョ体型の人より、スリムな体型が有利に働くこともあるのです。
体脂肪が多く体重が重い人は食事を調整して脂肪を落とし、減量してから懸垂に挑戦しましょう。
3. フォームが崩れている
広背筋はトレーニングで意識しにくい部位です。
懸垂で広背筋に効いていないと感じるなら、腕や肩に力が入っているかもしれません。
腕や肩に力が入ると広背筋に効かなくなるので、余分な力を抜いて肩甲骨を寄せるイメージで実施しましょう。
体幹がうまく使えていないと、体の軸がぶれてフォームが崩れます。
また手幅が狭すぎたり広すぎたりしても、うまく体を引き上げられません。
広背筋を意識しながら正しいフォームで懸垂を行えば、効かせたい背中の筋肉にしっかり刺激が入ります。
背筋の筋肉に刺激が入る正しい懸垂のフォーム
肩甲骨を寄せて下げ、胸を張ることを意識しましょう。肩や腕から余分な力が抜けて、広背筋に刺激が入ります。
懸垂の正しいやり方は以下の通りです。
- 肩幅と同じかやや広めにバーを握る
- 肩甲骨を背筋中央に引き寄せて胸をバーに近づける
- 顎とバーが同じ高さになるまで体を持ち上げる
- ゆっくり体を下げて元の姿勢に戻る
10回ほど同じ動作を繰り返し、休憩を30秒~1分挟みながら3セット繰り返します。
呼吸は止めずに行いましょう。体を持ち上げるときに息を吐き、下ろすときに息を吸います。
ゆっくり体を下ろし、肘を伸ばしきってから同じ動作を繰り返すと、より負荷が強くなりますよ。
懸垂で効かせるポイント5つ
懸垂をやるときは回数をこなすことより、動作や効かせたい筋肉に意識を集中させましょう。
ポイントを5つにまとめました。
- 握り方を使い分ける
- 体をまっすぐ引き上げる
- 体をゆっくりおろす
- 肩を下げる
- 体を反らない
ひとつずつ確認していきましょう。
1. 握り方を使い分ける
懸垂は握り方によって鍛えられる筋肉が変わります。以下の表にまとめたので、参考にしてみてください。
握り方 | 鍛えられる部位 |
逆手 | 広背筋下部 |
順手 | 広背筋上部 |
パラレル | 広背筋上部・下部 |
パラレルとは、手のひら同士を向かい合うようにした握り方です。逆手より順手の方がきつくなるなど、負荷の違いがあります。
効かせたい部位によって握り方を変えてください。
2. 体をまっすぐ引き上げる
懸垂で体を引き上げるときは、反動をつけずにまっすぐ引き上げましょう。
勢いよくバーに飛びついたり、体を揺らしながら引き上げたりすると、胸や腕に力が入ってしまいます。
反動が大きいと肩や腕を痛める原因になるので、気をつけましょう。
広背筋への効果を高めるため、顎を引いてまっすぐ体を引き上げるよう意識します。
3. 体をゆっくりおろす
懸垂は体を引き上げる動作に意識が行きやすいです。しかし体を下ろす動作の方が広背筋への負荷は高く、筋肥大に効果的です。
体を引き上げたら、3秒ほどかけてゆっくり体を下ろします。
広背筋に強い刺激が入り、筋肥大が期待できるでしょう。肘が伸びてスタート位置に戻るまで気を抜かずに行います。
4. 肩を下げる
懸垂を行うときに肩が上がっていると、背中が丸まってしまいます。
背中に効かせるために、肩を下げることを意識して体を引き上げましょう。また肩甲骨を寄せすぎると、僧帽筋に力が入ってしまうので注意します。
バーは親指と他の指が同じ方向になるようオーバーグリップで握りましょう。
全ての指をバーに引っかけるようなイメージです。このとき小指側で強く握るよう意識すると肩が下がり、背中に効いてきます。
5. 体を反らない
体が反ってしまうと刺激が分散してしまいます。
腕で体を引っ張り上げるのではなく、胸をバーに近づけるように懸垂を行いましょう。体を引き上げるときに、膝を少し前方にだすと体が反るのを防げます。
さらに足を後ろで組むと胸を張りやすくなるので、試してみてください。
普段の生活から胸を張り、腰を反らさないようにしておくと、トレーニングでも自然と意識できますよ。
背筋を鍛えるための懸垂トレーニング4選
効かせるポイントを押さえたら、実際に懸垂をやってみましょう。おすすめのトレーニングは以下の4つです。
- 斜め懸垂
- プルアップ
- ワイドグリップチンニング
- 片手懸垂
初心者から上級者向けまで紹介するので、トレーニングの参考にしてみてください。
1. 斜め懸垂
斜め懸垂は、筋力の少ない初心者でも取り組みやすいです。
バーの高さを低くし、足を床につけて行うため負荷は小さくなります。懸垂で体がうまく上がらない人は、斜め懸垂から始めると良いでしょう。
<やり方>
- バーの高さをおへその辺りまで下げる
- 肩幅よりやや広めに順手でバーを握る
- しゃがんだ姿勢から足を前にずらす
- 肘を伸ばし、床にかかとをつけて体を斜めに伸ばす
- 体は一直線になるように保つ
- バーに胸をひきつける
10回を1セットとし、30秒の休憩を挟みながら3セット程度行います。
体を一直線に伸ばしたときの角度が、床から45度以下になるようバーを調整しましょう。
2. プルアップ
プルアップとは順手で行う懸垂です。広背筋の上部に効果があり、逆手で行うチンアップと比べると負荷は高くなります。
チンアップができるようになってから、取り組みましょう。
<やり方>
- 肩幅よりやや広めに順手でバーを握る
- 足を地面についた状態で始める
- 顎がバーと同じ高さになるまで体を引き上げる
- 上がりきったところで2秒キープする
- ゆっくりと体を下ろす
10回を1セットとし、30秒の休憩を挟みながら3セット程度行います。バーに頭をぶつけやすいので、注意しましょう。
3. ワイドグリップチンニング
通常の懸垂よりバーを掴む手幅を広げることで、広背筋に幅広く効かせられます。
負荷が高くきついトレーニングのため、チンアップやプルアップができるようになってから取り組みましょう。
<やり方>
- 肩幅の2倍ほど手幅を取り、バーを順手か逆手で握る
- 足を軽く持ち上げる
- 肩甲骨を中央に寄せながら、バーを胸に近づける
- 上がりきったところで2秒キープする
- ゆっくりと体を下ろす
10回を1セットとし、30秒~1分間の休憩を挟みながら3セット程度行いましょう。
目線は前方を向き、顎を引いて取り組みます。継続すると背中が引き締まり、後ろ姿が美しくなりますよ。
4. 片手懸垂
片手懸垂は上級者向けのトレーニングです。負荷が大きい分、得られる効果も高いので、広背筋や握力の強化が見込めるでしょう。
急にやると肩や背中を痛めるので、チンアップやプルアップが30回以上できるようになってから取り組んでください。
<やり方>
- 片手でバーを順手か逆手で握る
- もう一方の手は腰の後ろに置く
- 足を地面についた状態で始める
- 頭をぶつけないように体を少し傾ける
- 顔がバーと同じ高さになるまで体を引き上げる
- 上がりきったところで2秒キープする
- 肘が伸びきらない位置までゆっくりと体を下ろす
できる回数を1セットとし、1分間の休憩を挟みながら3セット程度行いましょう。
負荷の高いトレーニングのため、まずは両手で体を引き上げ、片手で下ろす練習から始めます。そこから徐々に片手懸垂に移行していきましょう。
自宅で気軽に懸垂ができるおすすめの器具3選
懸垂は気軽に行えるトレーニングなので、自宅に器具を用意するのも良いでしょう。便利に使えるのは以下の3つです。
- 懸垂バー
- チンニングスタンド
- トレーニングギア
手軽に買えるので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 懸垂バー
懸垂バーは2,000円台から購入できる手軽なトレーニング器具です。
ジムに通う時間のない人やコストがかけられない人は、懸垂バーを活用しましょう。
ジムに行けない日のトレーニング用に購入するのもおすすめです。
懸垂バーには、ドア枠に設置する突っ張り棒タイプと、ドアに引っかけるタイプがあります。自宅の場所に合わせて幅の変更ができて便利です。
100kgまで耐えられる懸垂バーもあるので、設置場所の強度や体重に合わせて選びましょう。
安全ストッパーがついたものを選べば、トレーニング中に懸垂バーが外れてケガをする心配はありません。
「ジムで懸垂するのが恥ずかしい」と考えている初心者は、まず懸垂バーを使って自宅で練習してみると良いでしょう。
2. チンニングスタンド
チンニングスタンドは10,000円前後で購入が可能です。
設置する場所が必要なスタンド型のため、自宅のスペースを考えて選びましょう。床が安定していることも大切です。
商品によって耐荷重量が違うので、購入するとき注意しましょう。安全面を考え、自分の体重より耐荷重量が重いものを選びます。
懸垂は意図せず反動がつくことも多く、チンニングスタンドに体重以上の負荷がかかるからです。
斜め懸垂ハンドルがついた初心者用のモデルや、腹筋用のベンチを装備したマルチ懸垂マシンなど種類が豊富です。
懸垂以外での活用を考えて選ぶのも良いでしょう。
3. トレーニングギア
懸垂はバーを掴んで体を引き上げるため、手のひらに摩擦や圧力がかかって痛みを感じやすいです。
しかしトレーニングギアを身につけていると痛みが軽減し、マメができるのを防いでくれます。
懸垂に慣れていない初心者は手が痛くなりやすいので、積極的に使うと良いでしょう。
懸垂に適したトレーニングギアは主に以下の2つです。
- パワーグリップ
- トレーニンググローブ
滑り止め効果でバーから手が離れにくくなります。手のひらや腕に余計な力が入らないので、背中や肩に意識を集中できるでしょう。
パワーグリップはバーに巻きつけるベロが手のひら側についており、トレーニングの種類によっては着脱が必要です。
一方トレーニンググローブは装着したまま、他のトレーニングに移行できます。ただし、パワーグリップの方がマメはできにくいでしょう。
パワーグリップは手に巻くだけの簡単な仕様です。グローブに比べて取り外しやすいので、懸垂メインで取り組むなら、パワーグリップを選びましょう。
懸垂をやるときの注意点4つ
懸垂の正しいフォームや効かせるやり方だけでなく、注意点もみていきましょう。主に4つあります。
- 強く握りすぎない
- 呼吸と動きを合わせる
- 回数をやりすぎない
- 休息日をつくる
ひとつずつ説明します。
1. 強く握りすぎない
バーを強く握りすぎると、腕の力だけで体を持ち上げることになり、背中に刺激が入りません。
バーに指をかけて体を支えるイメージで軽く握ります。
握力が弱い人は、トレーニングギアを使うと良いでしょう。親指側に力が入ると腕の筋肉に効いてしまうので、小指側を意識して握ります。
2. 呼吸と動きを合わせる
筋トレに集中すると、思わず息を止めてしまうことがあるでしょう。
懸垂を行うときは、体を持ち上げるときに息を吐き、下ろすときに息を吸います。
正しい呼吸法で行うと筋トレの効果がアップするので、息を止めないよう意識して取り組みましょう。
3. 回数をやりすぎない
早くボディラインを整えたくても、回数を沢山やるのはよくありません。1セットで10回~20回程度、3~5セットを目安にしましょう。
この回数で限界を感じるように実施すると、筋肥大に効果的です。負荷が足りないと感じたら、足に重りをつけるなど工夫しましょう。
1か月ほどで懸垂の効果を実感でき、3~6か月経つころには、目に見える変化が現れます。効果が実感できるまでは厳しいと感じることもあるでしょう。
懸垂は負荷が高いトレーニングなので、長期計画で取り組むことを意識してみてください。
4. 休息日をつくる
背筋を鍛えたいからと、毎日トレーニングするのは逆効果です。
懸垂は負荷の高いトレーニングなので、週2~3日程度の頻度でやるのが最適です。筋肉のためにも休息日を作りましょう。
広背筋は大きな筋肉なので、十分回復するには48~72時間ほど必要です。
筋トレで筋肉がダメージを受け、休息することで回復し、筋肉が成長します。これを超回復と呼び、繰り返すことで筋肉が大きくなるのです。
筋肉痛が残っている状態では、回復が足りていません。無理せずトレーニングを休みましょう。
懸垂で背筋を鍛えてスタイルアップ
懸垂は誰もが知っているトレーニングですが、正しいフォームで取り組んでいる人は少ないです。
フォームが崩れていると効果が半減するだけでなく、ケガのリスクも高まります。
慣れてくると気がつかないうちに、自己流のフォームになってしまうことがあるでしょう。
正しいフォームや鍛えたい部位は定期的にチェックしてみてください。
懸垂で背筋を鍛えれば、逆三角形の体に近づきます。そのためには継続が大切です。
スタイルアップした未来の自分を思い浮かべながら、トレーニングを頑張っていきましょう。
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