「プロテイン飲みだしてからおならがよく出るな…」
「おならの臭いをどうにかしたい!」
プロテインを飲み始めてから、いつもよりおならが臭くなったと悩んでいませんか?
実は、プロテインとおならは密接な関係にあります。放っておくとお腹の調子が悪くなってしまい、さまざまな不調を招く恐れもあるのです。
この記事では、
- プロテインでおならが変わる理由
- おならの異常を放置するリスク
- 臭いの対策方法
について、管理栄養士が分かりやすく解説します。
おならの悩みから解放されたい方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもおならが出る理由とは
おならが出る理由は2つあります。
- 空気の排泄
- 腸内で発生したガスの排泄
食べたり飲んだりするとき、空気も一緒にお腹へ取り入れています。もちろん空気は消化できないので、そのまま肛門から排泄されます。
また腸内細菌の働きによって食べ物を発酵させる際にもガスが発生します。ガスも体にとって不要なため、肛門から排泄されます。
以上2つがおならの正体です。
プロテインでおならが増加&臭う3つの原因
おならはどうは生理現象のひとつで、1日に数回は出るものです。しかし、本来「臭い」と感じるものではありません。
もしもプロテインを飲み始めてから臭いを強く感じるのであれば、原因として次の3つが考えられます。
- 吉草酸の増加
- 悪玉菌の増加
- 腸内環境の悪化
順に説明します。
1. 吉草酸が増加するから
吉草酸はアミノ酸を分解した際に生まれる酸のことです。プロテインはたんぱく質なので、体に吸収されるためにアミノ酸まで分解されます。このとき吉草酸が発生します。
つまりプロテインをたくさん摂れば摂るほど吉草酸は増え、その分おならの臭いもキツくなる、ということです。プロテインだけでなく食事でも肉をしっかり食べている方は、とくにおならの臭いが増しやすいでしょう。
参考:江田証著「腸のトリセツ」
2. 悪玉菌の好物だから
腸内細菌のうち、悪玉菌はたんぱく質を好んでエサにします。プロテインはたんぱく質そのものなので、たくさん摂れば悪玉菌によって利用され、腐敗物を生み出します。
悪玉菌が食物を腐敗させたときに生じるのが、アンモニアや硫化水素、メチルカプタンなどの有害ガスです。このガスが硫黄のような臭いの強いおならになります。
「なんだかおならが硫黄臭いな」と思った方は、プロテインを頻繁に飲んだことで悪玉菌がガスをたくさん出しているのかもしれません。
3. 腸内環境が悪化するから
プロテインを多く摂ると、たんぱく質を好む悪玉菌が増加します。
結果、腸内環境が悪化し、次の症状があらわれます。
- 便秘や下痢
- 腸内ガスが異様に発生
便秘や下痢によって便がきちんと排泄できなくなれば、腸内に老廃物がたまります。食べ物を放っておくといつか腐るのと同じで、長時間腸の中に残った便も腐ります。
腐敗臭も交じって臭いもきつくなり、おならの悪臭度もどんどん増していくでしょう。
【注意】おならの異常を放置する三大リスク
「おならが出るけどプロテインは飲みたい」
「体調が悪いわけじゃないし、まぁいっか」
なんて思っていませんか?
おならの異常は腸からの「助けて」のサインです。見逃してはいけません。
放置した場合、3つのリスクがあります。
- 太りやすくなる
- 体の不調を招く
- 心の病気の元になる
順に確認していきましょう。
1. 太りやすくなる
おならの臭いが腸内環境の悪化である場合、太りやすい体質になる恐れがあります。腸に老廃物がたまっていると、栄養素を効率良く吸収できないからです。
食べたものは消化された後、腸で吸収されています。便秘や下痢など腸の働きが弱くなると、栄養素の吸収も上手にできません。
栄養素が上手く使えなくなれば、代謝は落ちます。代謝が落ちれば消費カロリー量も減るので、太りやすくなるのです。
ダイエットをしても効果が出にくい方は、腸内環境が悪いせいで代謝がうまくできていないのかもしれません。
2. 体の不調を招く
おならの異常を放置すると体の不調を招く恐れがあります。悪玉菌が増えて腸がうまく働けなくなるからです。
プロテインをたくさん摂ると腸内の悪玉菌が増えます。すると腸内環境が悪化して老廃物がたまり、栄養素が上手く吸収できなくなります。
食事から得られるビタミンやミネラル、糖質やたんぱく質、脂質は、体をいつも通り動かすために欠かせないものばかりです。栄養が吸収できず不足の状態となれば、貧血やめまいなどを引き起こす恐れがあります。
また腸内には免疫細胞もたくさん存在しています。もしも腸内環境が悪化すれば、免疫細胞も働きにくくなってしまうでしょう。
結果、風邪をひきやすかったり病気になりやすかったりするのです。
3. 心の病気の元になる
腸の調子が悪いと心の病気を引き起こしやすいことも分かっています。メンタルに関わる栄養素が腸で吸収されにくくなるのが原因です。
腸はさまざまな栄養素を吸収する場所です。しかし、異様なおならが出るくらい環境が悪化していると、栄養素の吸収はスムーズにいきません。
するとビタミンやアミノ酸などホルモンをつくるための材料が不足します。その中には、幸せを感じるセロトニンや快楽を感じるドーパミンの合成に必要な栄養素も含まれます。
つまり、栄養素が足りなくなれば幸せや快楽を感じにくくなり、心の病気を招きやすくなるのです。
腸と脳は強い相関関係にあります。腸が健康になれば、どんよりした気持ちや気力の出ないだるさも、軽減されるかもしれません。
参考:江田証著「腸のトリセツ」
プロテインでおならが臭くならない対策法5選
おならのリスクを分かったうえでプロテインを飲みたい方向けに、対策法も紹介していきます。
以下の5つをご覧ください。
- プロテインの摂取量を減らす
- 1日のたんぱく質摂取量を見直す
- プロテインの種類を変える
- 食事バランスを整える
- 整腸剤を利用する
順に解説していきますね。
1. プロテインの摂取量を減らす
まずはプロテインの摂取量を減らしてみましょう。プロテインを摂り過ぎているために腸内が落ち着かず、おならが臭くなっているかもしれません。
プロテインを1日に何回も摂っている方は要注意です。飲めば飲むほど筋肉を増やせるわけではありません。
一日の摂取目安量を守りながら、あなたに合う適量を飲むようにしましょう。プロテインの量を減らせば、おならの回数や異臭も改善されやすいです。
2. 1日のたんぱく質摂取量を見直す
1日に摂っているたんぱく質の摂取量を見直してみましょう。もしかしたらプロテインを摂ることでたんぱく質を摂り過ぎている可能性があります。
そもそも、たんぱく質はそれほどたくさん必要ありません。厚生労働省が発表した食事摂取基準では、成人男性で60g・成人女性で50gを推奨量としています。
個人個人に合わせる場合でも、1日のたんぱく質量は体重1kgあたり1gで十分です。
筋トレブームに拍車をかけられ、たんぱく質の摂取が奨められている日本ですが、たくさん摂ると体に障害が出てしまいます。適量をとれるよう意識しましょう。
スポーツ選手などアスリート並の強度の高い運動をしないのであれば、わざわざプロテインを摂る必要はないかもしれませんね。
3. プロテインの種類を変える
ホエイプロテインなど牛乳由来のプロテインを飲んでいる方は、ソイプロテインに変えると症状が落ち着くかもしれません。もしかしたら、プロテインに含まれる乳糖に反応しているかもしれないからです。
牛乳の中には乳糖という糖分が含まれています。乳糖に耐性がない方は少しの量でもお腹の調子が崩れてしまいます。結果、おならが臭くなることもあるようです。
「プロテインも適量だし、たんぱく質を多く摂っていないのにおならが臭う…」そんな方はプロテインの種類を大豆由来のものに変更してみましょう。
4. 食事バランスを整える
プロテインを飲んでいるときは、食事バランスを整えられるよう意識しましょう。腸内環境を整えて、おならが出にくい状態にするためです。
プロテインを飲んでおならが出るのは、腸内に悪玉菌や腸内環境の悪化が原因でした。つまり、悪玉菌が増えない食事を意識したら良いのです。
悪玉菌を増やさないようにし、善玉菌を増やす食事のポイントは、
- 野菜や海藻を食べる
- オリゴ糖を摂る
- 糖質・たんぱく質・脂質は適量を意識する
の3つです。
どんな食材も「それだけを・大量に食べる」と栄養バランスは崩れます。いろいろなものを腹8分目に食べると良いですよ。
5. 整腸剤を利用する
食事によっておならを改善するとなると、数日~数週間様子を見た方が良いです。もしも即効性のある対策法を求めているのであれば、整腸剤を活用する手もあります。
薬局やネットなどでもさまざまなものがあります。初めて買うときは薬剤師に相談する、もしくは内科に相談して処方してもらうことをおすすめします。
自分に合った整腸剤を使うと効果を感じやすいです。
まとめ
プロテインとおならの関係について、大切なところを復習しましょう。
- おならが臭うのは腸内環境の悪化が原因
- おならの異常を放置すると心身の不調を招くかも
- 腸内環境を整える食事を意識する
「プロテインを飲み始めてから、おならが変わったな。」と思ったら、放っておかずに対策していきましょう。プロテインの量や付き合い方を見直す良いチャンスです。
また、おならは大腸の病気が隠れている可能性もあるので、ひどいときは受診も検討しましょう。
このコラムでは、他にもダイエット・ボディメイクに関するお役立ち情報を発信しています。ぜひ他の記事も参考にしてください。