「自分の体脂肪率って多いの?少ないの?」
「筋肉量の平均値が知りたい」
「体重計によって値が違うんだけど…」
体脂肪や筋肉率を測ってはいるものの、時間や体重計によって値が違うので「どれが本当なの?」と悩んでいませんか?
そもそも自分の体脂肪率や筋肉量が多いのか少ないかも分からない方もいるでしょう。
この記事では、
- 体脂肪と筋肉量が大切な理由
- それぞれの働き
- 判定値
- 体脂肪を減らして筋肉量を増やす方法
について、管理栄養士が分かりやすく解説します。
理想の体になりたい方は、ぜひ参考にしてください。
体重よりも体脂肪・筋肉量に注目すべき3つの理由
ダイエットや健康を意識し始めたとき、多くの方が気にする体重。実は体重よりも体脂肪や筋肉量に注目した方が良いことをご存じでしょうか?
体脂肪や筋肉量に注目すべき理由は3つあります。
- 加齢に負けない体をつくれるから
- 太りにくくなるから
- 健康面のメリットが大きいから
くわしく説明します。
理由1. 加齢に負けない体をつくれるから
体脂肪や筋肉量まで把握して生活できると、加齢に負けない体づくりをサポートできます。
20歳前後を境に基礎代謝や筋肉量は少しずつ減り、さまざまなデメリットを招くからです。
筋肉量が減ると、
- 基礎代謝が落ちる
- 肌がたるむ
- お尻や胸の位置が下がる
- 動くのが億劫になる
- 気分が落ち込みやすくなる
などが起りやすく、容姿の崩れにつながります。
「太った」「太らない」を体重で判断する人は多いです。
しかし同じ体重でも、
- 体脂肪が多くて筋肉量が少ない方
- 体脂肪が少なくて筋肉量が多い方
では見た目はまったく異なってきます。
体重のみに注目すると、体脂肪が変わらず筋肉だけが減る「隠れ肥満」になっていることもあります。加齢が気になり始める40代、50代、60代の方にも意識してほしい数値です。
理由2. 太りにくくなるから
体脂肪率を一定の値まで減らし、筋肉量を適量で維持できると太りにくくなります。筋肉を増やすと基礎代謝が上がり、消費エネルギーが増えるためです。
基礎代謝のうち、2割は筋肉が占めています。エネルギーを消費しやすい体をつくるために筋肉は欠かせません。
理由3. 健康面のメリットが大きいから
体脂肪率を増やさず、筋肉量を増やすと健康面へのメリットも大きくなります。体脂肪と筋肉のバランスが崩れると、さまざまな疾患の原因になるからです。
後ほど詳しく説明しますが、体脂肪には体温の保持や内臓の保護など大切な役割があります。しかし増えすぎると糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの疾患を招きやすくなります。
また筋肉は肝臓に似た働きを示し、糖質や脂質の代謝、有害物質アンモニアの処理も行ないます。加齢に伴うQOLの低下予防(※)につながるなど、筋肉量を維持するメリットは大きいのです。
※QOL・・・Quality Of Lifeの略。生活の質を指す。
※参考:厚生労働省「QOLの維持・向上に大切な筋肉は?」
体脂肪とは
そもそも体脂肪とは何なのでしょうか?
ダイエット中は敵のように感じる方もいますが、実は体に欠かせない大切な組織のひとつです。
体脂肪の役割や注意点、ダイエットとの関係について解説していきます。
体脂肪の役割
体脂肪の役割は次の通りです。
- ホルモンの合成・分泌
- 体温の保持
- 内臓の保護
どれも生きていくために欠かせないものばかり。
体脂肪は減らしすぎても増えすぎても体に害が出ます。とくにお腹周りにつく「内臓脂肪」には注意が必要です。
内臓脂肪について
内臓脂肪とは内臓につく脂肪のことです。
皮膚の下につく皮下脂肪に比べ、疾患リスクを上げやすいことが知られています。
内臓脂肪が多い方は、お腹周りだけが異様に出ているケースが多いです。おへその位置での周囲径が、男性85㎝・女性90㎝以上で過剰に蓄積されていると診断されます。
ダイエットとの関係
ダイエット中は体脂肪率を目安のひとつにしましょう。自分の体脂肪率が「痩せ・普通・肥満」のどのレベルなのかを把握するのです。
例えば体脂肪率の値が以下の場合、
- 「肥満」・・・しっかりと食事管理・運動に取り組む
- 「痩せ」・・・本当にダイエットが必要なのか考える
- 「普通」・・・筋肉量を意識したボディメイク
などをおすすめします。
【性別・年齢別】体脂肪率の判定一覧
では、具体的にあなたの体脂肪率が「痩せ・普通・肥満」のどのレベルなのかを判断していきましょう。
ただ、体組成の計測方法は体重計を販売する企業によって異なります。そのため、一番確実なのは「あなたが使用している体重計の説明書に記載された判定値」を参考にすることです。
ここでは、タニタの体脂肪率判定表を参考に性別・年齢別で一覧にしたものを紹介します。
目安程度に参考にしてください。
男性の体脂肪率(%)
やせ | 標準(-) | 標準(+) | 軽肥満 | 肥満 | |
20代・30代 | ~10 | 11~16 | 17~21 | 22~26 | 27~ |
40代・50代 | ~11 | 12~17 | 18~22 | 23~27 | 28~ |
60代以上 | ~13 | 14~19 | 20~24 | 25~29 | 30~ |
20~50代の成人男性の場合、11~22%で標準体型、23%以上で肥満レベルの体脂肪率になるようです。
ただ、タニタの判断値は日本肥満学会の値を参考に算出したものであり、健康面を意識して設定されています。もしもあなたが美容面での「標準」を求めているのであれば「標準(+)」以上を体脂肪率が少し多い状態と考えることをおすすめします。
女性の体脂肪率
やせ | 標準(-) | 標準(+) | 軽肥満 | 肥満 | |
20代・30代 | ~20 | 21~27 | 28~34 | 35~39 | 40~ |
40代・50代 | ~21 | 22~28 | 29~35 | 36~40 | 41~ |
60代以上 | ~22 | 23~29 | 30~36 | 37~41 | 42~ |
20~50代の成人女性の場合、21~35%で標準体型、36%以上で肥満レベルと判断できそうです。しかし、男性同様に美容面での「標準」を求めるのであれば「標準(+)」以上は体脂肪率が多めだと判断しましょう。
筋肉量とは
つづいて筋肉量について解説します。
筋肉量とは体についている筋肉全ての量を指します。わたしたちがよく使う筋肉は「骨格筋」のことですが、体組成計の筋肉量は内臓や心臓に存在する筋肉すべてが含まれています。
筋肉の種類
実は筋肉には3種類あります。
- 骨格筋:体を動かす筋肉
- 平滑筋:内臓を動かす筋肉
- 心筋:心臓を動かす筋肉
骨格筋は、いわゆる「筋肉」です。自分の意思で動かすことができるので、随意筋と呼ばれています。
平滑筋は内臓を動かす筋肉、心筋は心臓を動かす筋肉です。どちらも意思とは関係なく動き、不随意筋と呼ばれています。
筋肉の役割
筋肉は重力に負けないよう姿勢や内臓を支える役割があります。また、体を動かしたりエネルギーを生み出したりと、さまざまな働きをもっています。
筋肉が減ると姿勢が崩れたり代謝が落ちたりします。加齢にともなう活動量の低下も、筋肉量が減ることが大きく影響しています(※)。
ダイエットとの関係
ダイエット中は筋肉量を維持もしくは増量することをおすすめします。筋肉量が増えると基礎代謝が上がりますし、糖質・脂質の代謝が進んで体脂肪が増えにくくなるからです。
ただし体重が減ると、どうしても筋肉量も減ってしまいます。よって、筋肉量をできる限り維持しながら体脂肪率を減らすことが大切です。
【性別・体重別】筋肉量(骨格筋量)の判定一覧
筋肉量(骨格筋量)の判定値も一覧にして紹介します。
体脂肪率と同じタニタでお伝えしたかったのですが、数値による判定は明記されていませんでした。
そこで、オムロンが公表している骨格筋率の判定値を参考に、筋肉量を算出しました。あくまで目安としてご覧ください。
※ここで示すのは骨格筋量です。平滑筋や心筋の量は含んでいません。
※ご自身で計算する場合は、以下の計算式で算出してください。
{体重-(体重×体脂肪率×0.01)}÷2
男性の骨格筋量(kg)
低い | 標準 | やや高い | 高い | |
体重50kg | 2.5~16.4 | 16.5~17.9 | 18~18.7 | 18.8~30 |
体重60kg | 3~19.7 | 19.8~21.4 | 21.5~22.4 | 22.5~36 |
体重70kg | 3.5~23 | 23.1~25 | 25.1~26.1 | 26.2~42 |
体重80kg | 4~26.2 | 26.3~28.6 | 28.7~29.8 | 29.9~48 |
※オムロンの骨格筋率を参考に体重値から算出
女性の骨格筋量
低い | 標準 | やや高い | 高い | |
体重45kg | 2.5~11.6 | 11.7~12.6 | 12.7~13.1 | 13.2~27 |
体重50kg | 2.5~12.9 | 13~14 | 14.1~14.5 | 14.6~30 |
体重60kg | 3~15.5 | 15.6~16.7 | 16.8~17.4 | 17.5~42 |
体重70kg | 3.5~18.1 | 18.2~19.5 | 19.6~20.3 | 20.4~48 |
※オムロンの骨格筋率を参考に体重値から算出
体脂肪・筋肉量に理想値ってあるの?
体脂肪や筋肉量を意識しだすと「理想値ってあるのかな?」「モデルさんはどのくらいなんだろう」と気になりますよね。
正直なところ、体脂肪や筋肉量に理想値はありません。身長や体重、運動習慣の有無などに左右されるためです。
誰かと比べるのではなく、個々における体の変化の目安として利用しましょう。今回紹介した判定値は、体型維持に努めるきっかけにしてみてください。
一点、体脂肪や筋肉量は体重計や計測環境によって誤差が出やすい点は注意してください。
あくまで「目安」です。数値によって一喜一憂しすぎないことをおすすめします。
体脂肪を減らして筋肉量アップ!理想の体を目指す5つのコツ
体脂肪を減らしながら筋肉量を維持もしくは増量すれば、理想の体に近づけます。
コツは次の5つです。
- 運動の習慣化
- 摂取カロリーの見直し
- 食事バランスを整える
- 睡眠時間の確保
- 毎日自分の姿をチェック
くわしくみていきましょう。
理想の体を目指すコツ1. 運動の習慣化
運動を習慣づけましょう。体脂肪はエネルギーを消費しないと減りませんし、筋肉は使わないと増やせません。
体脂肪を減らしながら筋肉量を維持・増量するためには、筋トレと有酸素運動の組み合わせがおすすめです。筋トレで筋肉量アップを狙い、有酸素運動で体脂肪燃焼を狙います。
理想の体を目指すコツ2. 摂取カロリーの見直し
摂取カロリーが多過ぎる場合は必ず見直しましょう。
カロリーの摂り過ぎは体脂肪率を増やすからです。
以下に当てはまる方は摂取カロリーが多いかもしれません。
- 食事の後はお腹がいっぱいで動けない
- 食後は毎回異様に眠い
- 1日に何を食べたか覚えていない
身に覚えのある方は、一度どれくらいカロリーをとっているのか確認してみてください。
理想の体を目指すコツ3. 食事バランスを整える
摂取カロリーだけでなく、食事のバランスも整えましょう。食事バランスが悪いと栄養素が偏ってしまうからです。
結果、代謝が悪くなって太りやすくなったり、たんぱく質が合成できずに筋肉量が減ってしまったりします。
食事バランス(一食分)の目安は以下の通りです。
- 主食はコンビニおにぎり1個(大柄な方は2個)
- 主菜(魚・肉・豆腐)は片手の平いっぱい
- 副菜(野菜・海藻)も片手の平いっぱい
参考にしてくださいね。
理想の体を目指すコツ4. 睡眠時間の確保
睡眠は食事や運動習慣と並ぶ、とても大切なポイントになります。睡眠時間に成長ホルモンが分泌されるからです。
成長ホルモンが正常に分泌されると、夜間に体脂肪が分解されやすくなるほか、筋肉の修復や肌の健康にもつながります。できれば日をまたぐ前に深い眠りにつき、6~7時間のまとまった睡眠時間をもてるようにしましょう。
理想の体を目指すコツ5. 毎日自分の姿をチェック
自分の姿を毎日チェックするようにしましょう。体脂肪や筋肉量は誤差が生じやすいので、素直に受け止めすぎるとストレスがたまってしまうからです。
体重・体脂肪率・筋肉量などの数値はあくまで目安にするものです。数値は誤差がでますが、見た目は嘘をつきません。
自分の姿を毎日目で見て確認し、食事改善や運動に取り組むと継続しやすくなります。
まとめ
体脂肪と筋肉量は体組成のひとつで、健康状態や肥満度を判断するのに大切な指標です。体重計や計測する環境によって誤差が生じやすいので、あくまで目安として利用するようにしましょう。
「筋肉量を増やしながら、体脂肪率だけを効率良く減らしたい!」そんなときは、プロのトレーナーに相談することをおすすめします。
このコラムでは、他にもダイエット・ボディメイクに関するお役立ち情報を発信しています。ぜひ他の記事もご覧ください。