「一日一食だと血糖値はどうなるの?」
「血糖値が上がると痩せられないらしいし、一日一食にしようかな・・・」
ダイエット中、手っ取り早くエネルギーを大幅カットできるからと一日一食だけにしようか迷っているあなた。痩せるのは魅力的だけど、血糖値に対して悪い影響があるのでは、と不安になってしまいますよね。
結論、一日一食は血糖値をコントロールしにくくなるので、おすすめできません。とくに検診結果で「血糖値」や「ヘモグロビンA1C」が引っかかった方は注意が必要です。
この記事では、一日一食が血糖値に与える影響について解説します。
筆者は生活習慣病にくわしい現役の管理栄養士です。血糖値を活かしながらダイエットを成功させるコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
一日一食は血糖値のコントロールがうまくいかず痩せにくい
「一日一食しか食べなければ、摂取エネルギー量が減るから痩せる!」と思っていませんか?実は一日一食しか食べない場合、血糖値のコントロールがうまくできず、痩せにくくなります。
コントロールが上手くできない理由は「血糖値スパイク」にあります。血糖値スパイクとは、食後一気に血糖値が上昇する現象のことです。
食事を一定の間隔でバランスよく食べる場合、血糖値が上昇する際の振れ幅は安定しています。しかし一日一食しか食べない場合、エネルギーを欲している体は糖質をどんどん血液中に取り入れ、一気に血糖値が上がる血糖値スパイクが発生するのです。
急激に上昇した血糖値を一定の値まで下げるため『インスリン』というホルモンがたくさん分泌されます。このインスリンが痩せない原因を作りだすのです。
インスリンは血糖を体のすみずみにある細胞に届ける働きがあるのですが、必要ない血糖を「不要なエネルギー源」として体脂肪へ変えていきます。結果、体脂肪が増えてしまうこともあります。
まとめると、痩せにくい体になる流れは以下の通りです。
- 一日一食しか食べない
- 血糖値が急上昇する
- インスリンがたくさん分泌される
- 不要な血糖値を体脂肪として蓄える
- 体脂肪が増加
一日一食が血糖値に与える2つの影響
一日一食の食事スタイルが血糖値に与える影響は、痩せにくくなるだけではありません。
今回は2つの症状を紹介します。
- 食後の高血糖を招く
- 低血糖になる恐れがある
順にくわしく解説します。
影響1. 食後の高血糖を招く
一日一食しか食事を食べないと、食後に高血糖を招きやすくなります。
規則的な間隔で複数回の食事を食べた方が、血糖値は上昇しにくい性質をもっているからです。
体のエネルギー源である糖質は、常に一定量が必要です。しかし一日一食しか食べないことで糖質を摂らない時間が長く続くと、欲しいのに手に入らないエネルギー源を強く求めはじめます。
結果、久しぶりの食事で摂った糖質をたくさん血液へと取り込み、急激に血糖値が上昇して高血糖になります。高血糖の状態が頻繁に起こると痩せられない原因になるだけでなく、糖尿病のリスクファクターにもなるので、気をつけましょう。
影響2. 低血糖になる恐れがある
絶食時間が長いと血糖値が必要な分も足らなくなり、低血糖を起こす恐れもあります。低血糖とは、エネルギー源である糖質が足らず、細胞がうまく働けなくなる状態です。
低血糖では次の症状がでてきます。
- 脱力感
- イライラ
- 冷や汗
とくに血糖値のコントロールをうまくできていない方は、低血糖になりやすいかもしれません。健診で「血糖値」や「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」を指摘された方は注意しましょう。
痩せたいなら一日三食×夕食のみ糖質制限がおすすめ
一日一食はエネルギー制限になるので、体重は落ちるでしょう。しかし血糖値が不安定なため体に負担がかかりやすく、ダイエットとしてはおすすめできません。
そこでおすすめしたいのが「一日三食×夕食のみ糖質制限」です。
「血糖値を味方につけながら痩せたい!」「健康的で引き締まった体を手に入れたい!」
という方は、一日三食しっかり食べ、夕食のみ糖質制限する食事管理がおすすめです。
一日三食×夕食のみ糖質制限をする場合、次の3つを意識しましょう。
- 朝・昼・夕と一定の間隔で食事をとる
- 夕食は糖質の量を抑える
- 朝食の際にお腹が空いている状態をつくる
くわしく解説します。
1. 朝・昼・夕と一定の間隔で食事をとる
血糖値を安定させるため、食事の時間は一定の間隔でとります。朝ごはん・昼ごはん・夕ごはんを6時間おきに食べられるのがベストです。
朝や昼は活動量が多く、エネルギー消費もしやすいのでエネルギー源の糖質は控えない方が良いでしょう。
2. 夕食は糖質の量を抑える
夕食の糖質量は抑えるようにしましょう。無駄な糖質を摂ることで血糖値が上がってしまい体脂肪が増える…ということが起こらないようにします。
なぜ夕食の糖質を抑えるのかと言うと、食事したあとの夜はもっとも活動量が少ない時間帯だからです。活動量が少なければ、必要なエネルギー量も少ないです。つまりエネルギー源である糖質も多くは必要としません。
余分な糖質はインスリンによって体脂肪へと換えられてしまうので、夕食は血糖値を急激に上げない食事内容を意識しましょう。
3. 朝食の際にお腹が空いている状態をつくる
朝起きた時に「お腹が空いたな」と感じる状態をつくれるようにしましょう。起床時に空腹感があれば絶食の時間を上手に作れている証拠になります。
絶食の時間を作りたい理由は、体脂肪が分解されやすいからです。しかし活動する昼間に空腹が長く続けば、エネルギー不足による体への影響が気になります。
そこで眠っている時間を有効活用し、まとまった絶食の時間を作るのです。絶食の時間を上手に取り入れると、体脂肪は落ちやすくなります。
ダイエットの効率を良くする4つのコツ
「一日三食×夕食のみ糖質制限で絶対にダイエットを成功させたい!」
そんなあなたへ、さらにダイエット効果を得られる4つのコツを紹介します。
- アンダーカロリーを守る
- 食事バランスを改善する
- 筋トレをする
- 有酸素運動をする
くわしく解説していきます。
1. アンダーカロリーを守る
アンダーカロリーを守ると、ダイエット効果はさらに高くなります。
アンダーカロリーとは、摂取エネルギー量が消費エネルギー量を下回っている状態のこと。必要なエネルギーを食事でカバーできないと、体脂肪を分解してエネルギーをつくりだします。
つまり、アンダーカロリーは体脂肪を減らしたいダイエットでは「基本」なのです。
どの程度のカロリー摂取でアンダーカロリーと言えるのか知りたい方は、自身の消費エネルギー量を出すことからはじめてみましょう。消費エネルギー量は、基礎代謝+活動代謝+食事誘発性熱産生で計算できます。
詳しい算出方法は『糖質制限 やり方』の記事をご覧ください。
計算したアンダーカロリーを守りながら食事の量を調整し、エネルギーを摂り過ぎないよう注意しましょう。
2. 食事バランスを改善する
アンダーカロリーを守ったうえで、食事バランスの改善に取り組みます。
「痩せるならたんぱく質をたくさん食べること」「野菜だけを食べれば華奢になれる」なんて耳にしますが、特定の食材ばかりをたくさん食べる偏食は、健康的なダイエットに向いていません。
食事バランスは、以下を参考に整えてみましょう。
- ごはん・・・白ご飯や玄米、雑穀米
- メインのおかず・・・魚・肉
- 小鉢のおかず・・・野菜・大豆製品・海藻
- 汁物・・・野菜・大豆製品・海藻
エネルギー源の糖質はごはんで摂ることをおすすめします。玄米や雑穀米にすると血糖値が緩やかに上昇するので、ダイエット中の方も参考にしてください。
主食を食べ過ぎてしまう方は、おかずや汁物で食材をバランス良く食べると我慢しやすいです。野菜や大豆製品、海藻で摂れる食物繊維は、お腹にたまりやすく食欲を満たしてくれますし、血糖値の上昇を緩やかにする作用もあります。
3. 筋トレをする
血糖値を意識しながらダイエットするなら、筋トレを取り入れましょう。なぜなら、筋肉が増えると血糖値がコントロールしやすくなるからです。
そもそも血糖とは、体のさまざまな細胞へエネルギー源を運ぶため、血液中に糖質が入ったものです。エネルギー源を必要とする細胞である筋肉が増えれば、血糖も利用される効率が上がります。
筋肉が増えれば血糖の利用効率が上がり、結果インスリンの分泌量も適正になります。体脂肪を合成する作用をもつインスリンが過剰に分泌されなくなれば、脂肪の増えにくい体に近づけます。
4. 有酸素運動をする
筋トレに加え、有酸素運動も取り入れられるとより効果的です。
有酸素運動で主に利用されるエネルギー源は脂肪酸です。脂肪酸は脂肪を分解して得られる成分なので、ダイエット中に有酸素運動をすると体脂肪が減りやすくなります。
筋トレでは糖質を主なエネルギー源として使うため、体脂肪は減りにくいです。
効率良く痩せたいのであれば、筋肉をつくる筋トレと体脂肪を燃やす有酸素運動を組み合わせて行なうと良いでしょう。
まとめ
一日一食のみを食べる場合、血糖値にどのような影響があるのか解説しました。
重要な部分を再度確認してみましょう。
- 一日一食は血糖値のコントロールがうまくできない
- 血糖値がコントロールできないと痩せにくい
- 痩せたいなら、一日三食×夕食のみ糖質制限がおすすめ
- 筋トレや有酸素運動は血糖値コントロールをサポートする
一日一食では血糖値のコントロールがうまくできず、痩せにくくなる恐れがあります。「今度こそダイエットで痩せたい!」という方は、一日三食×夕食のみ糖質制限がおすすめです。
このコラムでは、他にもダイエット・ボディメイクに関するお役立ち情報を発信しています。ぜひ他の記事も参考にしてください。